おはようございます🌞
一昨日、2023発表されたわたくしの論文作成において
本当にお世話になった恩師である
今福教授が来広され〝帯状疱疹〟と〝帯状疱疹ワクチン〟についての
講演をされ、最新知見をうかがいましたので
それに関して復習を兼ねてまとめたいと思います。
本日はまじめな内容です。
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帯状疱疹(Herpes Zoster)
ヘルペス族はα、β、γ にわけられ9種類あるのですが(以下筆者作成したスライド)
ヘルペス属ウイルス(ヘルペス族、ではなかったです💦失礼しました)の特徴は
「一度ヘルペスにかかると、ウイルスは一生、宿主に潜伏する」
ということです。
水痘・帯状疱疹ウイルス((Varicella zoster virus: VZV)は
初めてかかるときはこどものときに(ほとんどの人がかかるのですが)
「みずぼうそう(水痘)」として発症します。
水痘は〝空気感染〟といって
空気中をただよう微細な粒子(飛沫核)で容易に感染しますので
感染力はかなり強いです。
このような感染形式をするのは、はしか(麻疹)、結核と水痘くらいです。
(一方、コロナは多くの場合飛沫感染;咳やくしゃみの飛沫による感染でしたね)
水ぼうそうはいったん治癒すると
ほとんどの場合は潜伏感染(せんぷくかんせん)といって
脊髄の後根神経節という部分ににひそんでいるのですが
「再帰感染」というのですが
免疫抑制時などに再活性化といって、
ウイルスが後根神経節で増殖すると
神経を伝って皮膚にまで到達すると帯状疱疹として発症します
(以下は筆者作成スライド)。
免疫には
T細胞性の免疫(獲得免疫、細胞性免疫) と
自然免疫(液性免疫)との二種類があって
理解が難しいので本日は割礼、じゃなかった、割愛します。
こうして、既感染者であるおとなに帯状疱疹として再帰感染したVZVは
水疱内にいるウイルスから初感染として子供にみずぼうそうとして感染し、
その集団はVZVの既感染集団となるわけです。
以下、今福教授の総説より引用
ちなみに
VZV( Varicella zoster virus)は
ヒトがサルからヒトに進化した800万年前から存在が確認されており
SVV(Simian Varicella Virus)というサル水痘ウイルスからわかれた と
その発生起源は今福先生のご講演で初めて知りました。
調べるとヒトヘルペスウイルスは、パンゲアがゴンドワナ大陸に分離し、
その後アフリカに分離した後に発生したものなのだと・・・
ゴンドワナ大陸とか久しぶりに聞いた
なお
帯状疱疹発症の頻度は50歳以上で急激に高くなり
60歳以上の人口の3人に1人が帯状疱疹を発症するとされていますので
水痘帯状疱疹ワクチンを接種すれば1/3の確率で予防効果が認められることになります。
(今福教授のご発表ではHZ発症率は
5/1000人・年で65歳以上では12/1000人・年、」だったかな、と)
帯状疱疹発症後、神経痛などの合併症が生じれば
高い医療費を要しますので
そういった意味で50歳以上のVZVワクチンの接種が推奨されるというわけです。
本来、
細胞性免疫が低下したかたの発症を予防する必要があるのですが
これまでの弱毒生ワクチンでは
そういった免疫抑制薬を内服しているなど免疫が低下した方には
接種が不適当とされていました。
ここで
2020年に使用できるようになった不活化ワクチンである
G社の成分ワクチンは そのような免疫不全の方も含めて
50歳以上の方に摂取することで実に97%の予防効果が4年間持続
さらに層別解析により80歳以上のかたでも90%の予防効果が認められています。
また、10年間の追跡調査でも90%の予防抗効果が認められてます。
当院でもG社の成分ワクチン、採用を予定します。
(〝G社〟の表現微妙ですね)
とくに、今回初めて知ったことに
「一度帯状疱疹になった方は接種は適当か?」という問いに
「一度帯状疱疹になった方は非罹患者に比べて再度罹患する可能性が高い」
というデータがあること、
VZVに対する個人の獲得免疫の個人差は
いわゆる体質の問題なのかな、と感じました。
当院はまだ開業後2か月で比較的若い方が多いのですが
帯状疱疹の患者さんがかなり多くて驚いています。
帯状疱疹は
・体の分節に一致した痛みと皮疹がでること
・早期発見し抗ウイルス薬による早期治療が望ましいこと
・神経痛を残す場合があるが多くの場合神経障害治療薬で加療ができること
・50歳以降でハイリスクの方は帯状疱疹ワクチン接種が望ましいこと
・JAK阻害薬内服予定、または膠原病罹患中などの患者さんは接種が望ましい
などがポイントでしょうか。
ではでは、今日もいちんち頑張りましょう!
【参考資料】
帯状疱疹の発症機構の考察と成分ワクチン 今福信一,ウイルス:71, 45-54, 2021
ウイルス感染症, 今福信一, 西日皮膚: 78,401-407, 2016
臨床からみるウイルス感染症に対する獲得免疫の役割, 今福信一, MB Derma : 233; 7-14, 2015
Journal of Virology, 86,
Nature Reviews Microbiology 12,197–210, 2014ほか
※この文章に書かれた内容と経過は筆者の経験と知識に基づいたもので、
必ずしもすべての症例に当てはまるわけではありません。
適宜内容に関しては改定・修正をする可能性がございます。