Yanase Derma’s Diary

皮ふ科専門医による皮ふ疾患や論文などの紹介です。https://www.yanased.com/

◆皮膚疾患目次◆

これまで自分が書いてきたブログの

皮膚疾患のリンク集をつくりました。

 

☆New☆

 

2026.05.21.

【皮膚科医が解説】5月の紫外線はもう危険?日焼け止めの正しい選び方と「吸収剤」のリアル

yanasettey.hatenablog.com

2026.5.11.

【勉強会復習】アトピー、乾癬、痤瘡、ヘルペス、多汗症。専門家の集いのまとめ

yanasettey.hatenablog.com

2026.04.26

【論文まとめ】【学会報告】外用療法の新常識「短時間塗布:SCT」の科学的根拠

yanasettey.hatenablog.com

2025.12.15.

📝 【皮膚科医解説】治りにくい「肝斑(シミ)」の正体と、最新治療の組み合わせ方

yanasettey.hatenablog.com

2025.11.24.

【皮ふの病気】【美容】悩ましいにきびトラブルに切り札:十味敗毒湯(十味敗毒湯)の活用法  #漢方薬

yanasettey.hatenablog.com

2025.11.13.

【美容】【論文紹介】老人性色素斑の治療効果と安全性システマティックレビュー

yanasettey.hatenablog.com

 

2025.11.09.

【美容】フォトフェイシャル治療の魅力を解説💡#美肌 #肌質改善 #フォトフェイシャル(IPL) #ノーリス

yanasettey.hatenablog.com

2025.10.01.

【皮ふの病気】尖圭コンジローマ治療について🔍 #STI#HPVワクチン

yanasettey.hatenablog.com

2025.09.23.

【勉強会まとめ】乾癬治療バイオシミラーとニキビ新剤形、ベピオウォッシュゲルのまとめ
 

 yanasettey.hatenablog.com

 


  

 

[1] ステロイドとは、ステロイドの外用方法

【勉強会まとめ】ステロイド外用のコツ;量×強さ×丁寧×継続 - Yanase Derma’s Diary

ステロイド軟膏の使い方 ①目的 ②分類 ③ぬりかた ④副作用 - Yanase Derma’s Diary

 

[2] アトピー性皮膚炎/しゅさ

◆ アトピー性皮膚炎について

yanasettey.hatenablog.com

◆ アトピー性皮膚炎の長期寛解

yanasettey.hatenablog.com

◆ アトピー性皮膚炎再考

yanasettey.hatenablog.com

◆ 皮膚リンパ腫とアトピー性皮膚炎 - Yanase Derma’s Diary

yanasettey.hatenablog.com

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[3] 乾癬/掌蹠膿疱症

◆ 乾癬について① 乾癬における疾病負荷

 

◆〝乾癬〟について② ~乾癬と関節炎の関係~ -

◆ 乾癬と体重管理

【皮ふ疾患のまとめ】乾癬専門家のまとめ!体重管理からの改善策 #体重管理 #乾癬 - Yanase Derma’s Diary

 

◆乾癬治療バイオシミラーとニキビ新剤形、ベピオウォッシュゲルのまとめ

【勉強会まとめ】乾癬治療バイオシミラーとニキビ新剤形、ベピオウォッシュゲルのまとめ - Yanase Derma’s Diary

 

◆ 掌蹠膿疱症と関節炎

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[4] 美容

◆ 当クリニック施術とキャンペーンまとめ

yanasettey.hatenablog.com

◆垢ぬけ美容施術とは

【美容】垢ぬけに必要な美容施術はどんなものがある? - Yanase Derma’s Diary

◆レーザーフェイシャル、Qスイッチルビーレーザー

【美容】当院における美肌治療①若返りのレーザーフェイシャル ②シミ取りのQスイッチルビーレーザー - Yanase Derma’s Diary

【美容】シミレーザー治療について。 - Yanase Derma’s Diary

【美容】【論文紹介】老人性色素斑の治療効果と安全性システマティックレビュー

老人性色素斑の治療効果と安全性 - Yanase Derma’s Diary

◆シミ(肝斑)治療

📝 【皮膚科医解説】治りにくい「肝斑(シミ)」の正体と、最新治療の組み合わせ方 - Yanase Derma’s Diary

◆フォトフェイシャル

【美容】フォトフェイシャル治療の魅力を解説💡#美肌 #肌質改善 #フォトフェイシャル(IPL) #ノーリス - Yanase Derma’s Diary

◆トラネキサム酸

【美容】【トラネキサム酸】のすべて ~小鼻・ほうれい線・口角ボトックスはじめます~ - Yanase Derma’s Diary

◆ビタミンC、アゼライン酸:

【美容】 毛穴めだちにどう対処するか!? ~はだの若返りについて各論①ビタミンC,②アゼライン酸~ - Yanase Derma’s Diary

◆レチノイド/レチノール

【美容】レチノイドの使用法 - Yanase Derma’s Diary

◆HQハイドロキノン

【美容】美白治療! HQ:ハイドロキノンについて - Yanase Derma’s Diary

◆レーザー脱毛

【美容】 レーザー脱毛について【コラム】 - Yanase Derma’s Diary

◆毛孔性苔癬 

【皮ふの病気】二の腕のぶつぶつ、治療法について~毛孔性角化症とは~ - Yanase Derma’s Diary

◆脂肪溶解注射💉

脂肪溶解注射〝Kabelline〟での部分痩せ治療💉Coming Soon!#カベリン #広島 #特別価格 - Yanase Derma’s Diary

◆ほくろ治療

【美容】ほくろの治療経過の実際 ①炭酸ガスレーザー【皮ふの病気について】 - Yanase Derma’s Diary

◆ゼオスキンセラピューティック

【美容】ゼオスキン セラピューティックまとめと経過 - Yanase Derma’s Diary

◆ボトックス

【美容】ボトックスをそろそろ開始しますぞ - Yanase Derma’s Diary

【美容】続・ボトックスまとめ;その2 と レーザー治療復習 - Yanase Derma’s Diary

【美容】続・ボトックスまとめ;その3 - Yanase Derma’s Diary

◆男性型/女性型脱毛症~男女のうす毛~

男性/女性のうす毛における効果的な治療方法とは? AGA/FPHLの科学的根拠のある発毛診療 - Yanase Derma’s Diary

◆ダーマペン4

【時事】G7サミット、広島市内閉鎖中 【美容】ダーマペン4はじめました - Yanase Derma’s Diary

◆老人性色素斑、日光色素斑

老人性色素斑の治療効果と安全性 - Yanase Derma’s Diary

◆汗管腫(目の周りのぶつぶつ)

【よくある皮ふ疾患】汗管腫syringomaの治療 - Yanase Derma’s Diary

◆小児の脱毛レーザーの開始時期 脱毛レーザーの作用機序

https://yanasettey.hatenablog.com/entry/2021/10/07/050932

◆ 紫外線照射の科学的根拠

yanasettey.hatenablog.com

◆ 紫外線予防とサンスクリーンの選択基準 前編

yanasettey.hatenablog.com

◆ 紫外線予防とサンスクリーンの選択基準 後編

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◆ 紫外線予防とサンスクリーンの選択基準 2026update

【皮膚科医が解説】5月の紫外線はもう危険?日焼け止めの正しい選び方と「吸収剤」のリアル - Yanase Derma’s Diary

[5] ニキビ治療

 

◆痤瘡治療総論

皮脂分泌を整えたり炎症を抑えるお悩みの方に向けた治療ポイントとは? - Yanase Derma’s Diary

◆にきびの最新治療メタ解析

【論文抄読】ニキビ治療の最新論文 システマティックレビューのメタ解析【美容】 - Yanase Derma’s Diary

◆ 痤瘡後紅斑(ニキビのあとのあかみ)

【美容】ざ瘡後紅斑の対策 - Yanase Derma’s Diary

◆ なかなか治らないニキビの、ただしいニキビ治療


◆悩ましいにきびトラブルに切り札:十味敗毒湯(十味敗毒湯)の活用法  #漢方薬

【皮ふの病気】【美容】悩ましいにきびトラブルに切り札:十味敗毒湯(十味敗毒湯)の活用法 #漢方薬 - Yanase Derma’s Diary

◆イソトレチノイン

イソトレチノイン治療の効果と副作用【美容、皮ふの病気について】 - Yanase Derma’s Diary

◆背中ニキビ;【マラセチア毛包炎】

【よくある皮ふ疾患】治りにくい背中ニキビについて~マラセチア毛包炎~ - Yanase Derma’s Diary

◆乾癬治療バイオシミラーとニキビ新剤形、ベピオウォッシュゲルのまとめ

【勉強会まとめ】乾癬治療バイオシミラーとニキビ新剤形、ベピオウォッシュゲルのまとめ - Yanase Derma’s Diary

◆ 顔面播種状粟粒性狼瘡 LMDF まとめ(眼周囲のぶつぶつ)

yanasettey.hatenablog.com

[6] 円形脱毛症/その他脱毛症

◆ 円形脱毛症:

【皮ふの病気について】円形脱毛症について - Yanase Derma’s Diary

◆ 瘢痕性脱毛症:

【まれな皮ふ疾患】どう治す? Frontal fibrosing alopecia 瘢痕性脱毛症の一亜型について(専門家向け) - Yanase Derma’s Diary

◆ 男性型/女性型脱毛症 ~男女のうす毛~

男性/女性のうす毛における効果的な治療方法とは? AGA/FPHLの科学的根拠のある発毛診療 - Yanase Derma’s Diary

◆ 重症円形脱毛症のまとめと水疱症

勤務医としての発表すべて終了!と学会復習(レーザー、円形脱毛症、水疱症(氏家先生来広)) - Yanase Derma’s Diary

[7] 多汗症

【皮ふ疾患まとめ】てのひら、わきの下のあせ(腋窩・掌蹠多汗症)の最新治療について💦 - Yanase Derma’s Diary

 

[8] アレルギー

◆花粉症と花粉皮膚炎

【皮ふの病気について】花粉症皮膚炎の予防と治療 - Yanase Derma’s Diary

◆大気汚染とアレルギー

【皮ふの病気について】大気汚染とアレルギーに関する症状・治療 #PM2.5 #大気アレルギー #花粉皮膚炎 - Yanase Derma’s Diary

◆ゴマアレルギー

ゴマアレルギーについて。【皮膚の病気】 - Yanase Derma’s Diary

◆PFAS(pollen food allergy syndrome)花粉・食物アレルギー症候群 【専門家向け】

https://yanasettey.hatenablog.com/entry/2022/10/27/003852

[9] 湿疹/紅斑症

◆皮脂欠乏性湿疹

肌トラブル解消の鍵は保湿?皮脂欠乏症との関係を解説🔍 #保湿【よくみる皮ふ疾患】 - Yanase Derma’s Diary

【皮ふ疾患まとめ】皮膚のかさつきとかゆみ【皮脂欠乏による湿疹】 - Yanase Derma’s Diary

◆異汗性湿疹

【皮ふ疾患まとめ】異汗性湿疹/汗疱~夏季に多い汗による湿疹~ - Yanase Derma’s Diary

◆多形日光疹(紫外線アレルギー)

【よくみる皮ふ疾患】紫外線と皮膚トラブル ~多形日光疹(PLE)について~ - Yanase Derma’s Diary

◆多形紅斑

 

◆ウイルス性中毒疹と多形紅斑

【 皮膚疾患のまとめ 】多形紅斑とウィルス性中毒疹 - Yanase Derma’s Diary

 

◆環状肉芽腫

【まれな皮ふ疾患】〝環状肉芽腫 Granuloma annulare〟について - Yanase Derma’s Diary

 

 

[10] 感染症

◆ 口唇ヘルペスとPIT処方について 

yanasettey.hatenablog.com

◆ 手足口病:

【よく診る皮ふ疾患】最近流行している手足口病について - Yanase Derma’s Diary

 

◆尋常性疣贅(ウイルス性疣贅)

ウイルス性いぼの治療 まとめ - Yanase Derma’s Diary

 

◆尖圭コンジローマ

【皮ふの病気】尖圭コンジローマ治療について🔍 #STI(Sexually Transmitted Infection)#HPVワクチン - Yanase Derma’s Diary

[11]皮膚外科手術

◆粉瘤

【皮ふの疾患】粉瘤の摘出について

https://yanasettey.hatenablog.com/entry/20250628/1751118352

 

◆陥入爪/巻き爪

【皮ふ疾患のまとめ】陥入爪、巻き爪について - Yanase Derma’s Diary

 

[12]膠原病

【勉強会復習】全身性強皮症まとめ(医師向け)

https://yanasettey.hatenablog.com/entry/2022/10/30/233655

 

[13]その他

 

◆下肢浮腫:

【皮ふの病気について】アムロジピンによる下肢浮腫 - Yanase Derma’s Diary

◆乳児血管腫

乳児(いちご状)血管腫の診断と治療 - Yanase Derma’s Diary

◆悪性黒色腫(メラノーマ)

【講演会まとめ】悪性黒色腫の診断と最新の治療 聖マリ 門野教授来広 - Yanase Derma’s Diary

◆やけど

【皮ふ疾患まとめ】やけどの初期診療について~やけどしちゃったらどうするの?~ - Yanase Derma’s Diary

◆眼瞼浮腫:

【皮ふ疾患まとめ】眼瞼腫脹の鑑別~初めての休日当番医~ - Yanase Derma’s Diary

◆薬疹

本日は「薬疹のすべて」と銘打った講演をしました~クリニックロゴも決まりました~ - Yanase Derma’s Diary

◆ Angioedema with Eosinophiliaについて:蕁麻疹と四肢の腫脹

◆ 結節性紅斑(下腿に生じる有痛性紅斑)

◆ 色素性痒疹 prurigo pigmentosaと炎症後色素沈着について

◆ VitB3;ナイアシン欠乏症/ナイアシン過敏症 

◆ 口内炎の治療

◆苔癬状粃糠疹:Pityriasis Lichenoidesのレビュー

https://yanasettey.hatenablog.com/entry/2021/09/13/215221

 

【勉強会まとめ】「皮膚という生態系の免疫学」―慶應教授: 永尾圭介教授の研究から学ぶ

おはようございます。

 

最近、ブログ更新頻度がおちています。

もう少し書きたいなぁと思いつつ、本業の診療に加えて、講演会の準備や朝活(ラジオ体操や朝ジョグ)、夜活(怪しい活動ではなく、走ったり勉強会に参加したりですよ!笑)などで、それなりに忙しくしており、ブログを書く時間が二の次になっていました。

 

7/19美容フェスでの美容と若返りについての講演、

https://www.instagram.com/p/DbkjFzMj1wO/?img_index=1

8/3はアトピー性皮膚炎で西日本の皮膚科Drを対象とした講演会、

8/24は全国オンラインで乾癬の講演会をおこないました。

全国オンラインでの講演はこれまでにも何度か経験させていただいていますが、今回は医師向け会員制医療情報サイト「m3.com」を通じて、約350名の先生方にご視聴いただいたとのことでした。

九州大学をはじめ、複数の大学医局でも会場を設けてご視聴いただいたと伺い、大変ありがたく思いました。

 

そしてこの週末は、懇意にしていただいている愛知県の春日井先生に名古屋へお招きいただきました。

春日井先生からはアトピー性皮膚炎、
神戸の林先生からは酒さ、
私は乾癬の診断と治療について、それぞれお話ししました。

 

そういえば8月末には

若い頃の私のサブスペシャリティでもあり、毎年のように発表していた

皮膚外科学会にも参加して、恩師の大原國章部長にご挨拶してきました

 

さて今回は、土曜日の診療終了後にそのまま名古屋へ移動して講演会に参加し、翌朝8時には名古屋を出発。広島へとんぼ返りして、広島地方会に参加してきました。

 

広島地方会は、大学病院や総合病院で勤務する若手の先生方にとって、半年に一度、症例や研究成果を発表する大切な機会です。

私も若い頃には、ほぼ毎回のように発表していました。

開業した現在も、今年春の地方会では、クリニックの立場から「陥入爪治療の実際」について供覧させていただきました。

今回は美容皮膚科に関する発表を考えていたのですが、登録期限に間に合わず見送りに。

今から考えると、名古屋で講演して翌日に地方会でも発表していたら、さすがに少しくたびれていたかもしれません(笑)。

次回はぜひ報告したいと思っています。

 

さて、今回の地方会の特別講演には、

2026年に慶應義塾大学医学部皮膚科学教授に就任された永尾圭介教授

をお招きしていました。非常に興味深い講演でしたので、自分自身の復習も兼ねて少しまとめてみます。

 

永尾教授は、慶應義塾大学医学部を卒業後、皮膚科医として臨床経験を積まれ、その後長年にわたり米国National Institutes of Health(NIH)で研究を続けられました。NIHでは独立研究室を率い、最終的にはNIAMS(National Institute of Arthritis and Musculoskeletal and Skin Diseases)の

Senior Investigator / Chiefとして研究チームを率いておられました。

研究テーマは「毛包免疫」「皮膚マイクロバイオーム」「自然リンパ球(ILC)」「DIHS/DRESS」「single-cell解析」など多岐にわたります。

NIHは米国国家の医学・生命科学研究を担う中枢機関であり、そこで独立研究室を率いて研究を続け、tenureを取得してSenior Investigatorまで務められた経歴は、国際的にも非常に高い評価を受けてきた研究者であることを物語っています。

その永尾教授が2026年に日本へ戻られ、慶應義塾大学皮膚科学教室を率いられることになったのは、日本の皮膚科学・免疫学にとっても非常に大きな出来事だと思います。

 

 

・・・少し話はそれますが、

日本では少子化が叫ばれ、1億2千万の人口は2070年には9000万人まで減少するといいます。とはいえ少子化は先進国共通の課題で、隣の韓国や台湾では出生率は0.8前後です。とはいえ人口の減少は

その中で、優秀な人材が海外に流出する流れがありますがこのように優秀な方が日本に戻ってこられることは非常にありがたいことだと思います。

 

さて、ここからは少し専門的です。

ご興味のある先生方・医療関係者の方に向けて、今回のお話の一部をまとめます。私は講演中、気になった部分をPCにメモしていました。

最近は講演そのものをAIで自動的に記録・要約する方法もあるようですが、今回は自分で取ったメモを、永尾教授の過去の論文と照合しながらAIにも補助してもらい、内容を整理してみました。

 

 

① 毛包は皮膚免疫の「管制塔」として働く

毛包ケラチノサイトは外的刺激に応答してCCL2、CCL20などのケモカインを産生し、Langerhans細胞をはじめとする樹状細胞の動員や局在を制御します。

また、毛包由来のIL-7、IL-15は、皮膚resident memory T cell(TRM)の局在と維持に重要です。

つまり、毛包は単に「毛を作る器官」ではなく、皮膚内の免疫細胞を配置し、維持する免疫学的なhubとして機能しています。

② ILCは皮脂腺を介して皮膚細菌叢を調節する

毛包、特に皮脂腺近傍にはRORγt陽性のinnate lymphoid cell(ILC:自然リンパ球)が存在します。

これらのILCはTNF/lymphotoxinなどのシグナルを介してsebocyteのNotch signalingを調節し、皮脂腺の増殖を適切に抑えています。

ILCが欠損すると皮脂腺が過形成となり、抗菌性脂質の産生が増加し、結果として皮膚常在菌叢の構成が変化します。

つまりILCは細菌を直接コントロールするだけではなく、

ILC → 皮脂腺 → 皮脂環境 → microbiome

という経路を介して、皮膚のmicrobiomeの恒常性を維持しています。

③ アトピー性皮膚炎ではmicrobiomeのdysbiosisが炎症を増幅する

アトピー性皮膚炎(AD)、特に増悪期には皮膚microbiomeの多様性が低下し、Staphylococcus aureus(黄色ブドウ球菌)が優位となるdysbiosisが生じます。

そして重要なのは、dysbiosisが単に「皮膚炎の結果」として起こるだけではないということです。

ADAM17欠損によるAD様マウスモデルでは、Corynebacterium属菌やS. aureusなどが経時的に優位となり、抗菌薬によってdysbiosisを是正すると皮膚炎も著明に改善しました。

すなわち、

炎症 → microbiomeの変化

だけでなく、

microbiomeの変化 → 炎症の増幅

という双方向性の関係が存在します。

④ 上皮自身にもmicrobiomeを制御する自然免疫機構がある

上部毛包では、ADAM10–Notch signalingがβ-defensin-6などを介した上皮自然免疫を維持しています。

このシグナルが破綻すると、Corynebacterium mastitidisを含むCorynebacterium属菌が優位となるdysbiosisが生じます。

それによってILC2が活性化し、炎症が誘導され、毛包細胞のpyroptotic cell deathと不可逆性脱毛へとつながることが動物モデルで示されています。

つまり、皮膚の恒常性は、

毛包・皮脂腺・免疫細胞・microbiome

がそれぞれ独立して存在しているのではなく、互いに作用し合う

host–microbe symbiosis(宿主と微生物の共生)

として維持されている、ということになります。

 

 

永尾教授の研究を一言で表すなら

私なりの理解では、

「皮膚という生態系の免疫学」

という言葉がかなり近いように思います。

従来、免疫学というと、

T細胞 → cytokine → 炎症

といった比較的直線的なイメージを持ちがちでした。

しかし永尾教授の研究では、

毛包
⇄ T cell / DC / ILC / macrophage
⇄ 皮脂腺
⇄ extracellular matrix
⇄ microbiome

という相互作用そのものが、皮膚の恒常性を作っています。

NIHでも永尾研究室の研究について、hair follicleをskin immunityの“control towers”として位置づけた研究として紹介されています。

 

そしてもう一つ印象的なのは、非常に基礎免疫学的な研究を行いながら、永尾教授ご自身が皮膚科専門医であり、NIH Clinical Centerでもattending physicianとして患者さんを診療し、DIHS/DRESSなどヒトの難治性疾患そのものを研究対象としてきたことです。

患者さんの病変からsingle-cell RNA sequencingなどを用いて病態を解析し、そこから治療標的を探し出す。

つまり、

基礎免疫学
+ single-cell / omics
+ 臨床医学

をつなぐtranslational researchです。

2026年に慶應義塾大学へ戻られ教授に就任されたことで、今後こうした基礎研究と臨床研究をさらに融合させた研究が、日本から発信されていくのではないかと期待しています。

 

実際、教授就任のご挨拶でも、

基礎研究と臨床研究を有機的に結びつけ、新しい知見をより良い医療へつなげていく

という方向性を明確に示されています。

 

今回のご講演は、永尾教授が約20年にわたり積み重ねてこられた研究の流れを、一つのストーリーとして理解できる素晴らしい内容でした。

世界の第一線で皮膚免疫を研究されてきた先生のお話を、広島で直接伺えたことは大変貴重な機会でした。

このような機会を企画し、永尾教授を招聘してくださった広島大学皮膚科学教室の田中暁生教授をはじめ、関係された先生方にも心より感謝申し上げます。

ではでは……。

【時事】マンジャロ25%下落の衝撃—必要な薬が消える日本で、本当に見直すべき医療費とは

先日、熊本を中心として震度7の大きな地震がありました。
熊本地震で被災された皆様に心よりお見舞い申し上げますとともに、

犠牲となられた方々に深く哀悼の意を捧げます。

 

また、いまも現地で闘い続けている政府関係者、現場の方々ふくめてすべての方々に深く敬意を表します。私も現地へ届くよう募金をいたしました。

 

災害が起きるたび、現場の報道を耳にするたび、私は一部メディアの報道姿勢に一種の違和感を抱いてきました。悲劇の一面だけを切り取る、またはセンセーショナルな表層的な取材。現地で噴出したバッシングや本質的な課題は改善されているのでしょうか。

 

何より重要なのは、災害を他人事と捉えないことだと考えています。

南海トラフ地震、首都直下地震、富士山噴火など、次に被災するのは我が身かもしれません。「その時、命を守れるか」「有事に現場をどう支えるか」。画面の向こう側の出来事のみならず、私たちが当事者意識を持つべきかもしれません。また、メディアはそのような意識喚起を改めてすべきではないでしょうか。

私自身もこの節目に、自宅やクリニックの防災備蓄(ローリングストックやバッテリー、防寒具など)を改めて点検いたしました。

 

本日は、あるニュースから見えてきた日本の医療の課題について書いてみたいと思います。

 

  • 読了時間の目安: 約3分

  • この記事のポイント:

    1. 防災の当事者意識: 災害報道を他人事とせず、いつ来るかわからない有事への備え(備蓄や心構え)を

    2. 現場から消える必須薬: マンジャロの25%薬価引き下げに象徴される「過度な薬価削減政策」が、現場で必要な基礎的医薬品の供給不足・撤退を招く

    3. 真の医療費適正化: 単なる薬価削りではなく、患者の尊厳とQOLを守る「終末期医療のあり方・ガイドライン」に踏み込んだ国民的議論が必要

 

薬価を下げる日本。本当に守るべきものは何か

2026年8月3日、日本イーライリリー社は2型糖尿病治療薬「マンジャロ皮下注」の薬価が特例調整により25%引き下げられたことに対し、強い懸念を示す声明を発表しました。 同社は、画期的新薬への不当な評価、日本市場への投資意欲低下、ドラッグラグ・ロスの加速、そして安定供給への悪影響を指摘しています。

 

iyakutsushinsha.com

 

もちろんこれは製薬側の主張ですが、一人の皮膚科医として日々診療する中で、「薬価を下げ続ける政策」の弊害を強く実感しています。

「安い薬」が消えていく現実

医療費抑制のために毎年のように薬価が削られた結果、

起きてるのは「採算が合わない薬の市場撤退」です。

 

我々の皮膚科領域でも、キシロカイン、ケフラール、デルモベート/キンダベート軟膏、シナール、プロバンサイン、ドレニゾンテープといった基本薬が入手困難、あるいは入手不可能となりました。

 

現在、他科も含めて日常診療に不可欠な薬の供給不安・限定出荷が常態化しています。

  • 内科・小児科: カロナール、メジコン、ムコダイン、漢方薬(葛根湯等)、サワシリン、クラリス、整腸剤、マグラックス、トランサミン

  • 救急・麻酔科: キシロカイン、ボスミン、ステロイド注射剤、生理食塩液、破傷風トキソイド

  • 精神科: ワイパックス、デパス、デパケン、セロクエル

  • 整形・眼科・耳鼻科: ロキソニンテープ、クラビット点眼液、メリスロン

薬局や卸の関係者の皆様から「先生、薬が入ってきません」と通達されるたび、胸が痛みます。

悪いのは現場の卸や薬局ではなく、国(財務省・厚労省)の政策の歪みなのです。

 

「薬価を下げる=正義」なのか

限られた医療財源を持続可能な状態に守ることはもちろん必要です。

しかし、必要不可欠な薬が採算割れで姿を消し、患者さんに届かなくなるのであれば本末転倒です。画期的新薬だけでなく、長年現場を支えてきた古い基礎薬こそ「安すぎる」という理由で失われてはなりません。

 

現在の政策は「薬価と診療報酬の引き下げ」に偏り過ぎているのではないでしょうか。

結果として現場では薬が消え、資材が高騰し、人材不足も深刻化しています。これでは医療自体が持続できません。

 

本当に議論すべき「終末期医療のあり方」に踏み込むべき

本当の意味で医療費の適正化を議論するのであれば、薬価だけを下げるのではなく、「終末期医療のあり方」にも踏み込む必要があると考えます。

例えば、

  • 回復が極めて困難な超高齢者への侵襲的治療
  • 人生の最終段階における抗がん剤治療
  • 延命のみを目的とした医療

については、患者さん本人の意思を最大限尊重しながら、医学的利益とQOLの両面から適切なガイドラインを整備することが重要ではないでしょうか。

もちろん、年齢だけで治療を制限すべきではありません。しかし、「できる医療はすべて行う」という考え方だけでは、持続可能な医療制度を維持することは難しくなっています。

私自身も勤務医時代、救命が極めて困難な患者さんであっても、ご家族から「できることはすべてしてほしい」と希望され、高額な薬剤を用いた延命治療を行った経験が少なくありません。現場では、医師だけの判断で治療を控えることは極めて難しいのが実情です。

欧米の多くの国では、日本よりもACP(アドバンス・ケア・プランニング)や緩和ケアが普及しており、人生の最終段階では、本人の意思を尊重しながら、過度な延命治療ではなく苦痛の緩和を重視する選択が広く行われています。

日本でも、医療費だけではなく、患者さんの尊厳や人生の質、そして限られた医療資源をどう配分するかという視点から、国民的な議論を深める時期に来ているのではないでしょうか。

 

おわりに:医療を守るための「適正配分」を

医療費は削るのではなく、「本当に必要な場所へ適正に配分する」仕組みへシフトすべきです。 薬価を下げ続け、必要な薬が消え、新薬も日本に来なくなる——そんな未来は望んでいません。医療の質と持続可能性を両立させるため、今こそ制度全体を見直す議論が必要です。

 

以上です。 さて、本日はアトピー性皮膚炎の西日本配信の機会をいただきましたが、今月は乾癬について全国のオンライン配信、9月には名古屋での講演会にお招きいただいています。

ではでは、猛暑が続きますが、どうぞ皆様、ご自愛くださいませ。

【皮膚科医が解説】5月の紫外線はもう危険?日焼け止めの正しい選び方と「吸収剤」のリアル

おはようございます🌅

 

5月に入り、紫外線がつよいなと実感する季節になりました。

そろそろみなさま、陽の光が眩しく感じられるようになったのではないでしょうか。

本日は日焼け止めの基本と、どう選ぶか、問題点などについてまとめてまいります。

かなり詳しく長文となっています。

【読了時間:約8〜10分】

この記事では、日焼け止めの基本、SPF・PAの意味、紫外線吸収剤と散乱剤の違い、正しい塗り方、塗り直しのポイント、肌質別の選び方について解説します。

結論からいうと、日焼け止めで最も大切なのは、自分の肌に合い、毎日きちんと使い続けられることです。

SPFやPAの数値が高くても、塗る量が少なかったり、汗や摩擦で落ちたままになっていたりすると、十分な効果は得られません。日焼け止めは、十分な量を塗り、必要に応じて塗り直すことが大切です。

また、紫外線対策は夏だけのものではありません。UVAは窓ガラスも通過しやすく、しみ・しわ・たるみなどの光老化に関係するため、年間を通じた対策が大切です。

 

 

1. 日焼け止めの基本:何を防いでいるのか

光とは波長による異なる電磁波の一種です。

光はその波長により呼び方や作用が異なります。可視光線(紫~赤)の外側の波長が紫外線(紫より短波長)、赤外線(赤色光より長波長)ということになります。
種類 波長の目安 見えるか 主な作用・特徴
紫外線 UV 約100〜400 nm 見えない 皮膚の日焼け、DNA損傷、炎症、光老化、殺菌作用など
可視光線 約380〜780 nm 見える 明るさ・色として認識される
近赤外線 NIR 約780〜2,500 nm 見えない 皮膚深部への熱作用、血流・組織加温、レーザー治療などに関与

中赤外線〜

遠赤外線

約2,500 nm〜1 mm 見えない 主に熱として感じる。物体の温度放射に関与

 

紫外線(Ultra violet; UV)は、可視光線(およそ380-780nm)よりも波長が短い

紫の波長より短い外側の波長なので紫外線、とよばれます。

紫外線も波長が長い方からUV-A, UV-B, UV-Cと呼ばれます。

 

これらの波長の作用は下記に示すとおりです。

種類 波長 皮膚への主な作用
UVC 100〜280 nm 非常にエネルギーが強い。通常はオゾン層でほぼ吸収される
UVB 280〜315 nm 表皮に強く作用。日焼け、紅斑、DNA損傷、皮膚がんリスク。
UVA 315〜400 nm 真皮まで届きやすい。光老化、しわ、たるみ、色素沈着に関与

最近は、紫外線の害が言及されるようになり、

“安易な日焼けは肌に良くない”ことは多くの方の知るところになりました。

 

特に重要なのは下記のUVA/UVBをカットすることです。

 

UVB → 「日に焼け赤くなる(DNA障害)」「将来的な皮膚がんにつながる」
UVA → 「肌が老ける(光老化:photoaging)」

 

いつから紫外線を予防するか、ということですが

もちろん、年間を通じて紫外線を予防する必要はあるのですが

具体的には紫外線UVindexの強い4月~9月、とくに10時から14時です。

UVインデックス(観測値)の年間推移グラフ(出典:気象庁)https://www.data.jma.go.jp/env/uvhp/link_daily_uvindex_obs.html

 

時間別UVインデックス(観測値)推移グラフ(気象庁)

次に、日焼け止めのSPF/PAについて述べます。

2. SPFとPAの意味

SPF

SPF(Sun Protection Factor)は、UVB防御の指標です。

  • SPF 15:約93%のUVBをブロック

  • SPF 30:約97%のUVBをブロック

  • SPF 50:約98%のUVBをブロック

のUVBを防ぐとされます。

実臨床では:

  • 摩擦
  • 塗布不足

があるため、高SPFのほうが“実効防御”は高くなりやすいです。

正しい使用方法

  • 外出の15分前に塗布(紫外線吸収剤を含む製品の場合)

  • ティースプーン法:顔・首に1杯、各腕に1杯、胴体に2杯、各脚に2杯

  • 2時間ごとに塗り直し、水泳や発汗後はより頻繁に

  • 耳、首、頭皮、足の甲も忘れずに

PA

UVA防御。

  • PA+
  • PA++
  • PA+++
  • PA++++

の4段階。

現在は美容皮膚科では
「PA++++を基本推奨」
が主流です。

 

3. 紫外線散乱剤 vs 吸収剤

ここも議論されるポイントです。

A. 紫外線散乱剤(ノンケミカル)

代表:

  • 酸化亜鉛
  • 酸化チタン

特徴

  • 紫外線を反射・散乱
  • 刺激が少ない
  • 小児・敏感肌向き

デメリット

  • 白浮き
  • きしみ
  • 重い
  • 毛穴感

向いている患者

  • 敏感肌
  • 酒さ
  • アトピー
  • 施術後
  • 小児

B. 紫外線吸収剤(ケミカル)

  • 紫外線吸収剤(化学フィルター)は、紫外線を吸収して熱エネルギーとして放出します。主な成分には以下が含まれます:

    • UVB吸収剤:オクチノキサート、オクチサレート、ホモサレート、エンスリゾール

    • UVA吸収剤オキシベンゾン(ベンゾフェノン-3)アボベンゾン、エカムスール(メクソリルSX)

    • 広域スペクトル:オクトクリレン、ドロメトリゾールトリシロキサン(メクソリルXL)

特徴

  • 紫外線エネルギーを熱に変換
  • 使用感が良い
  • 白浮きしにくい

デメリット

  • 接触皮膚炎
  • 刺激感
  • 眼刺激
  • 一部成分の安全性議論

4. 「吸収剤は危険」という議論について

FDAの問題提起

2019年、U.S. FDA; Food and Drug Administration 米国食品医薬品局は、一部吸収剤が血中吸収されることを報告しました。

代表:

  • oxybenzone
  • avobenzone
  • octocrylene
  • ecamsule など。

ただし重要なのは:「血中で検出された」≠ 「有害性が証明された」

ではない点です。

 

5. 最近特に注意すべき成分

内分泌かく乱の可能性オキシベンゾンとホモサレートは、欧州委員会により内分泌かく乱特性の可能性があると評価されています。欧州では最大濃度がオキシベンゾン2.2%、ホモサレート0.5%に制限されていますが、米国ではそれぞれ6%、15%です。

全身吸収:2019年のJAMA研究では、アボベンゾン、オキシベンゾン、オクトクリレン、エカムスールの4つの成分が、最大使用条件下で血漿中に検出可能なレベルで吸収されることが示されています。オキシベンゾンは母乳、羊水、尿、血液中でも検出されています。

しかし、ToxCast/Tox21データベースの分析では、これらの紫外線吸収剤は低い生物活性を示し、オキシベンゾンを振り返って、ヒトの血漿濃度は生物活性濃度の100分の1以下でした。

ベンゾフェノン-3(オキシベンゾン)に関するレビューでは、市販の日焼け止め(4% w/w)を全身に1回塗布した後の内部ピーク濃度が、in vitroで内分泌かく乱作用を最初の濃度と到達する可能性があることが示されました。

アレルギー反応を起こす成分

最も一般的な光アレルギー性接触皮膚炎の原因

  • ベンゾフェノン-3(オキシベンゾン): 最も一般的な光接触アレルゲン

  • オクトクリレン:使用が増加しています、光アレルギー性接触皮膚炎の頻度が高い

  • アボベンゾン(ブチルメトキシジベンゾイルメタン)

  • ベンゾフェノン-4(スリソベンゾン)

6. 現在の“現実的コンセンサス”

世界的な皮膚科学会の立場はほぼ共通しており、

紫外線の害が、日焼け止めリスクより遥かに大きい

特に:

  • 光老化
  • 色素疾患
  • 皮ふの悪性腫瘍

予防効果のエビデンスは非常に強いです。

留意すべき成分と世論

治験の動向:米国FDAでは、酸化亜鉛と二酸化チタンは安全性・有効性について評価が比較的確立している成分とされ、一方で一部の紫外線吸収剤については、全身吸収などを踏まえ追加データが求められています。ただし、「血中に検出された」ことと「健康被害が証明された」ことは同じではありません。

発がん性の懸念:市販の日焼け止めで発がん性汚染物質(ベンゼン、ベンゾフェノン)の一部が検出されましたが、これは製造上であり、紫外線予防自体にはありません。

推奨される選択肢妊婦や感受性の高い集団には、全身循環にほとんど吸収されない無機紫外線予防(酸化亜鉛、二酸化チタン)を含む製品が推奨されます。

医学文献では特定の市販ブランドの推奨は行われていないが、臨床的には、患者が定期的に正しく使用する日焼け止めが最適の日焼け止めであるとされている

7. 日焼け止めのエビデンス

① 光老化抑制

毎日日焼け止め群で:

  • しわ
  • 色素沈着
  • 光老化

の進行が抑制された質の高い論文報告があります。


② 皮ふがん抑制

特に:

  • SCC(有棘細胞癌)
  • actinic keratosis(日光角化症)

を減少させるエビデンスが強いと報告されています。


③ 肝斑・PIH(炎症後色素沈着)予防

美容皮膚科で極めて重要です。特に

  • UVA
  • 可視光線(HEV)
  • 摩擦

がこれらに関与しています。

8. 日焼け止めは“塗り方”がとても大切

実はほとんどの人が「規定量の1/2以下」しか塗れていません。

 

日焼け止めは、ただ塗ればよいというものではなく、十分な量をムラなく塗ることが大切です。

実際には、多くの方が日焼け止めをかなり少なめに塗っており、表示されているSPFやPAの効果を十分に発揮できていないことがあります。

顔に塗る量の目安は、約0.8〜1.2gです。


とはいっても、毎回重さを量るのは現実的ではありません。


わかりやすい目安としては、
人差し指と中指の2本分に日焼け止めを出す「2フィンガールール」がありますが

クリームならパール大2つ分、ローションなら1円玉2枚分、と説明しています。

この量を、

  • 両頬
  • あご

に分けて、こすりすぎないようにやさしく伸ばします。

特に、
頬の高い位置、鼻、こめかみ、耳の前、首
は塗り忘れやすく、しみ・日焼けが出やすい部位です。

「少量を薄く伸ばす」よりも、適量をやさしく、均一にのせる

ことが大切です。

SPF50の日焼け止めを使っていても、塗る量が少なければ、実際の防御効果は大きく下がってしまいます。
日焼け止めは、製品選びだけでなく、塗る量と塗り方がとても重要です。

一度にたくさん塗ると白浮きやベタつきが気になる場合は、少量ずつ2回に分けて重ね塗りするのがおすすめです。

9. 日焼け止めは塗り直しも大切です

SPF50の日焼け止めを使っていても、一度塗れば一日中安心というわけではありません。

日焼け止めは、

  • 皮脂
  • マスクや衣類による摩擦
  • 手で触れること
  • タオルで拭くこと

などによって、少しずつ落ちていきます。

理想的には、2〜3時間ごとに塗り直すことがすすめられます。
特に、屋外で過ごす時間が長い日、汗をかく日、海やプール、スポーツ時には、よりこまめな塗り直しが大切です。

 

とはいえ、日常生活で2〜3時間ごとに塗り直すのは難しいこともあります。
現実的には、まずは朝に十分な量をしっかり塗ること、そして可能であれば昼に1回塗り直すことを意識するだけでも、紫外線対策としてはかなり違ってきます。

 

メイクの上からは、日焼け止めパウダー、スプレー、クッションタイプなどを活用するのも一つの方法です。

※当院では、スプレータイプのプラスリストア日焼け止めを入手しています

(限定品で、商品を切らしていることもあります)

10. 日焼け止めに頼りすぎないことも大切

紫外線対策では、日焼け止めがとても重要です。
しかし、日焼け止めだけで紫外線を完全に防げるわけではありません。

より効果的に紫外線を防ぐためには、

  • 帽子
  • 日傘
  • サングラス
  • 長袖やアームカバー
  • 日陰を選ぶ
  • 紫外線の強い時間帯の外出を避ける

といった対策を組み合わせることが大切です。

特に日本では、「日焼け止めは夏だけ塗るもの」と考えている方も少なくありません。
しかし、UVAはUVBに比べると季節による変動が小さく、窓ガラスも通過しやすいため、しみ・しわ・たるみなどの光老化対策としては、年間を通じた紫外線対策が大切です。

11. 皮膚科・美容皮膚科での使い分け

敏感肌・酒さ

  • ノンケミカル
  • 酸化亜鉛主体
  • アルコール少なめ

肝斑

  • PA++++
  • tinted
  • iron oxide入り

男性

  • ジェル
  • スプレー
  • 皮脂耐性

小児

  • 散乱剤主体
  • ウォータープルーフ過剰不要

施術後

  • ノンケミカル
  • 低刺激
  • 摩擦最小化

12. 日焼け止めの価格帯と選び方

焼け止めには、ドラッグストアで購入できるものから、医療機関専売品、デパートコスメまでさまざまな種類があります。
価格だけで良し悪しが決まるわけではありませんが、一般的には価格帯によって、使用感、低刺激性、付加成分、ブランド性などに違いがあります。

種類 価格帯の目安 特徴
ドラッグストア製品 700〜2,500円程度 コストパフォーマンスが良く、日常使いしやすい
中価格帯製品 2,500〜4,500円程度 使用感や化粧下地効果に優れたものが多い
医療機関専売品 3,500〜6,000円程度 敏感肌、施術後、肝斑、酒さなどに配慮した製品が多い
ハイブランド製品 7,000〜15,000円程度 使用感、香り、ブランド性、美容成分などを重視

大切なのは、価格の高い製品を選ぶことではなく、肌質や生活スタイルに合い、毎日無理なく使い続けられるものを選ぶことです。

市販で使いやすい日焼け止めの例

ALLIE〈アリィー〉

摩擦や汗に強い製品が多く、日常生活から屋外活動まで使いやすいブランドです。
マスクや衣類によるこすれが気になる方、汗をかきやすい方にも選択肢になります。

ANESSA〈アネッサ〉

耐水性・耐汗性に優れた製品が多く、海、スポーツ、長時間の屋外活動など、紫外線をしっかり防ぎたい場面に向いています。
一方で、肌が敏感な方では乾燥感や刺激を感じることもあるため、肌質に応じて選ぶことが大切です。

Biore UV Aqua Rich

みずみずしい使用感で、毎日使いやすい製品です。
ベタつきが苦手な方、男性、学生さんなどにも使いやすい一方、アルコール感や刺激を感じる方もいるため、敏感肌の方は注意が必要です。

La Roche-Posay UVイデア

敏感肌向けの製品として知られており、トーンアップ効果を期待できるタイプもあります。
赤みが気になる方、化粧下地として使いたい方、肌へのやさしさを重視したい方に向いています。

当院で導入するクリニック専売品

当院では、肌質や治療内容に応じて、プラスリストア、GRAFA、ZO Skin Healthなどの日焼け止めをご提案しています。

プラスリストア

プラスリストアは、レーザー治療後や美容施術後の肌にも使いやすい設計が特徴です。
摩擦をできるだけ避けたい方、肝斑が気になる方、IPLやQスイッチレーザーなどの施術後の紫外線対策にも適しています。

GRAFA〈グラファ〉

GRAFAは、低刺激性を重視したい方に向いた製品です。
乾燥肌、敏感肌、アトピー性皮膚炎のある方など、できるだけシンプルで肌にやさしい日焼け止めを選びたい場合に適しています。

ZO Skin Health

ZO Skin Healthは、美容意識の高い方や、スキンケア全体を体系的に見直したい方に向いたブランドです。
日焼け止め単体というより、レチノール製品や美白ケアを含めた総合的なスキンケア設計の中で位置づけられます。

しみ、くすみ、肌質改善などを含めて、より積極的に美容医療としてのスキンケアを考えたい方に適しています。


まとめ

日焼け止めは、単にSPFやPAの数値、価格、ブランドだけで選ぶものではありません。

肌質、汗のかきやすさ、屋外活動の多さ、メイクとの相性、肝斑や赤みの有無、美容施術後かどうかによって、適した製品は変わります。

迷う場合は、「毎日続けられる使用感」「自分の肌に合っていること」を最優先に選ぶとよいでしょう。

13. 日焼け止め最近のトレンド

① 色つき日焼け止め

近年は、色つきの日焼け止め、いわゆる tinted sunscreen が注目されています。

色つき日焼け止めには、酸化鉄などの成分が配合されていることがあり、紫外線だけでなく、可視光線による色素沈着対策にも役立つ可能性があります。

特に、肝斑や炎症後色素沈着が気になる方では、通常の日焼け止めに加えて、色つきタイプを選ぶことが有用な場合があります。


② ブルーライト対策

スマートフォンやパソコンの画面から出るブルーライトが肌に与える影響についても関心が高まっています。

ただし、日常生活におけるブルーライト対策については、紫外線対策ほど明確なエビデンスが確立しているわけではありません。

現時点では、ブルーライトだけを過度に心配するよりも、まずはUVA・UVBをしっかり防ぐこと、肝斑や色素沈着が気になる方では可視光線対策も考えることが大切です。


③ 日焼け止めの“美容液化”

最近は、日焼け止めに美容成分を配合した製品も増えています。

たとえば、

  • 抗酸化成分
  • ナイアシンアミド
  • ビタミンC誘導体
  • 保湿成分
  • DNA修復酵素

などを配合した製品があります。

ただし、日焼け止めの本来の目的は、あくまで紫外線を防ぐことです。
美容成分も魅力的ですが、まずは十分な紫外線防御力があり、毎日使い続けられる製品を選ぶことが大切です。


14. 日焼け止めでよくある誤解

日焼け止めは身近なアイテムですが、実際には誤解されていることも少なくありません。

「SPF50なら少量でも安心」

SPF50の日焼け止めでも、塗る量が少なければ十分な効果は得られません。
表示されているSPFやPAは、十分な量を塗った場合の目安です。

「朝1回塗れば一日中大丈夫」

日焼け止めは、汗・皮脂・マスク・摩擦などで少しずつ落ちていきます。
屋外で過ごす日や汗をかく日は、塗り直しが大切です。

「ノンケミカルなら絶対に安全」

ノンケミカル、つまり紫外線散乱剤を中心とした日焼け止めは、敏感肌や施術後の肌に向いていることが多いです。
ただし、酸化亜鉛や酸化チタンを含む製品でも、肌質によっては乾燥感や刺激を感じることがあります。

「ノンケミカル=誰にでも絶対安全」というわけではなく、肌に合うかどうかを確認しながら使うことが大切です。

「室内にいる日は日焼け止めはいらない」

UVAは窓ガラスを通過しやすく、室内にいても肌に届くことがあります。
特に、窓際で過ごす時間が長い方、車の運転が多い方、しみ・肝斑・光老化が気になる方は、室内でも紫外線対策を意識するとよいでしょう。


15. 皮膚科医としてのまとめ

日焼け止めは、美容目的だけでなく、皮膚の健康を守るためにも大切なスキンケアです。

現時点でのバランスのよい考え方は、次のようになります。

  • 紫外線対策による利益は非常に大きい
  • 紫外線吸収剤については、安全性に関する議論がある
  • ただし、通常使用で重大な健康被害が明確に証明されているわけではない
  • 敏感肌、小児、妊娠中の方、施術後の肌では、紫外線散乱剤を中心とした製品が選択肢になる
  • 肌質や生活スタイルに合った、毎日続けられる日焼け止めを選ぶことが大切

日焼け止め選びで最も大切なのは、「自分の肌に合っていて、毎日きちんと使い続けられること」です。

SPFやPAの数値だけでなく、肌質、使用感、汗のかきやすさ、メイクとの相性、肝斑や赤みの有無、美容施術後かどうかなどによって、適した製品は変わります。

迷う場合は、皮膚科で肌の状態を確認しながら、ご自身に合った日焼け止めを選ぶことをおすすめします。

【勉強会復習】アトピー、乾癬、痤瘡、ヘルペス、多汗症。専門家の集いのまとめ

おはようございます。

 

このたび、大阪で勉強会に招かれ参加してまいりました。

1️⃣アトピー性皮膚炎:通常治療(外用のみ)から全身療法に切り替えるタイミング 

これについて先生方とスモールグループディスカッションのみを行いました

2️⃣単純ヘルペス:PIT療法の適応

患者さんにあらかじめ抗ウイルス薬(ファムビルorアメナリーフ)を処方しておき、患者さんが再燃したタイミングで内服を開始するものをPIT(Patient Initiate Therapy)治療といいます。一方で、患者さんがヘルペスが再燃した後に受診0し、内服を開始する治療法が通常治療(ET:Episodic Therapy)です。PIT治療とET治療ではどちらが優れているか、内服するならどちらか、その講義でした。

3️⃣多汗症

多汗症の患者さんが何に困っているかを学ぶ機会になりました

4️⃣乾癬:乾癬患者の本音のこまりごと 乾癬治療総論

乾癬患者協会の理事の女性の講演でした。とても素敵な講演で、患者さんならではの本音の声・・・何に困っているのか、先生に本当は伝えてくても伝えられないこと、などの本音を聞くことができ、胸を打たれました。

総論ではよくご一緒する川崎大講師の馬屋原先生の講演をお聞きしました。あいかわらずよくまとまった素晴らしい講演でした。

 

いずれも、全国各地からおいでの先生方と具体的なスモールグループでのディスカッションを行い、

さまざまな本音の議論ができたことはとても有意義でした。

 

1️⃣アトピー性皮膚炎

 

わたくしもアトピー持ちで、子供の頃からつらい思いをたくさんしました。

 

基本的に肌ってのはかゆいものだと思っていましたし、毎年ある時期になると顔が赤くカサカサしていて、首や肘、膝裏が傷だらけなのが普通でした。

 

それがアトピーというものだと思っていましたし、肌の痒みがなくなることは想像ができませんでした。皮膚科には通っていましたが、治療ゴールもわかりませんでしたし、なんのためになんの治療をするのかもわかっていませんでした。

 

現在、当院には、これまでの治療の効果が不十分でいらっしゃる患者さんが一定数おられます。

良くならない原因は

[1] 医師の説明が不足している/不十分

[2] 患者さんの理解不十分~治す気が十分ではない

のどちらかではないかと思います。

 

当院では、まずアトピーとは何かをご説明し(アトピー性皮膚炎とはなにか?その定義)、なぜアトピーになるのか、どのように治療していくのが正しいのか、正しい薬塗り方や生活のご説明、そして治療ゴールは何かの概略をご説明いたします。

 

私自身がアトピーですから、少なくとも私のお肌くらいにはなることはできますし、

さらに美しい、『きれいな肌』を目指すこともできます。

 

当院にも、おはだががさがさで夜も眠れず日常生活を送れなかったかたがツルツルのお肌になって、普通の生活を楽しめるようになったり、温泉に行けるようになったとか、うれしいことに、治療開始後に結婚できました、との報告をいただくことも少なくありません。

 

この度のディスカッションでは、

まず、難治性のアトピーの方にはどのようにアプローチするか。まずは正しい処方量を正しい塗り方で行うご説明をすること、そのご説明と患者さんのご理解の再評価、治療見直しのタイミングがいつか、そしてその外用治療の効果判定と外用療法の限界の見極めがいつか、先生方と具体的なディスカッションをおこないました。毎回治療効果を判定して、適切な時期、必要によっては早期に全身治療への進展もあってよいという話になりました。

 

2️⃣ 単純ヘルペス

以下のような患者アンケート報告があります。

インターネットによる口唇ヘルペス治療に関するアンケート調査(博報堂2022.08.)マルホサイトより引用

患者さんは早く治ることを希望しておられ、それには

あらかじめおくすりを処方しておき、症状の再燃時には速やかに安全な薬剤の内服を有効量で内服したほうが良いのは自明の理で、それを示す科学的根拠はたくさんあります。皮膚に症状が出たときにはウイルス量は最大量となっているので、その前のウイルスが増加しつつある初期段階での抗ウイルス薬の大量療法が最も有効で合理的です。

 

このたびのディスカッションでは、6錠を一気に内服する治療のほうが血中濃度が上昇するため(ただし食後が望ましい)、やや値段は高価であるが有効であろうとの話になりました。また、PIT療法(や、再発抑制療法)を続けることで、再発頻度は抑制できる可能性があるというデータも目にしました。

 

3️⃣多汗症

多汗症があるために、服装の制限を要したり、匂いが気になって恋愛に踏み切れなかったり、周囲の目が気になったりという生活の質の低下を引き起こすという報告を目にしました。医師は、患者さんの病態のみならず、その患者さんの生活背景までも見通して共感する力が必要だな、と改めて感じました。

患者さんには、多汗症の質問票を準備し、患者さんの困りごとを明らかにしようと思います。

 

4️⃣乾癬

患者会のかたが登壇され、お話を聞きました。

乾癬患者を診察するとき、それぞれ

 医師:皮膚症状、かゆみ、関節症状 を重視

 患者:医療費、治療の負担、うつや不安などのきもち

を重視する、とのアンケート結果を目にしました。

あらためて、医師は患者さんのお気持ちに寄り添い、その治療の本質と、患者さんの希望、患者さんの背景に思いを致すことが必要だと、胸につまされる患者さんの本音を聞きました。

患者さんの発する「いえ、特にお伝えすることはありません」という言葉の裏にあるサインを、われわれは見落とさないように心がける必要があるなと感じ入った次第です。

乾癬における治療の難しい部位(high impact/special area)は有名で、

頭皮・顔面、爪、陰部、間擦部位(膝窩、腋窩、肘窩、鼠径部など)は治療に難渋する部位です。この部位の皮疹は乾癬性関節炎の発症と関連すると報告されていますので、この部位の治療の遅れは、将来的な、関節リウマチのような関節痛を引き起こさないか注意深く見守る必要があります。

 

さてさて、GWも終わりましたし

みなさま日常生活ですね。やなせも勉強会のみならず、家族旅行に行ったり、久しぶりにラン活を再開できたり、ドッグランに行ったりと休みを満喫できました。

ではでは、引き続き頑張ってまいりましょう。

 

【論文まとめ】【学会報告】外用療法の新常識「短時間塗布:SCT」の科学的根拠

こんばんは。

 

今夜広島は雨です。

先週まで、土日にかけて広島市で

広島県副医師会長であり、広島県皮膚科の重鎮、岩崎皮ふ科の岩崎会頭を中心として

日本臨床皮膚科学会総会が広島市で行われておりました。

全国から数多くの先生方にご参加いただきご講演いただきました。ひとえに岩崎会頭の求心力(人間的魅力)、またこの学会を成功に導いたのは広島の皮膚科の医結束力の強さかと思いました。お忙しいなか広島まで足を運んでいた先生方、皮膚科学会の皆様ありがとうございました。大原國章元部長(元虎の門病院皮膚科部長)をお迎えし兄弟子の先生方との親睦を深めた小旅行もかけがえのない思い出となりました。若い頃ともに働き教えていただいたり、学会で議論していた先生も何名か教授になっておられ感銘を受けました。

 

私も微力ながら役務を務めさせていただき、多少なりともお役に立てたのであれば光栄です。

 

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さて。

本日は、アトピーの勉強で神戸に赴いておりました。

往復で円形脱毛症の最新の本に目を通したり、AIの使い方を学んだり、多くの学びがありました。

 

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本日は「外用薬を短時間だけ塗って洗い流す治療(SCT)」について整理してみます。

 


SCTは、皮膚への刺激や副作用(萎縮、乾燥、紅斑など)が懸念される薬剤を、

あえて短時間だけ塗布して洗い流すことで、

効果を維持しつつ副作用を抑える画期的な手法です。

特に有効な疾患

1. 尋常性痤瘡(ニキビ)

レチノイド外用薬(ディフェリン®;アダパレン)による刺激症状(灼熱感、乾燥、落屑)を経験している患者さん(約30%が該当) 

■治療開始時に刺激を最小限にしたい患者さん

■若年患者(12歳未満を含む)で忍容性が懸念される場合

30-60分の塗布後、洗浄剤で除去する方法が臨床的に用いられることがあります。

・ある試験では、1時間のSCTが標準塗布と同等の効果を示し、忍容性が有意に優れることを実証しました。 Dermatol Ther . 2021 Jan;34(1):e14724.

過酸化ベンゾイル(BPO:ベピオ等):BPOは強力な酸化作用による殺菌効果がありますが、接触皮膚炎や乾燥を引き起こしやすい薬剤です。BPOは非常に浸透が早く、短時間の接触でも毛包内の C. acnes(アクネ菌)を殺菌するのに十分な濃度に達します。臨床試験では、2分〜5分間の接触後に洗浄するSCTが、一晩中塗布した場合と同等の炎症性皮疹の減少率を示しました。

2. 頭部乾癬

クロベタゾールプロピオン酸エステル0.05%(コムクロ®)シャンプーは、
very strong / super-high potent steroid を“15分だけ頭皮に接触させて洗い流す”SCT製剤です。

■頭部乾癬では、乾いた頭皮に塗布 → 15分放置 → 泡立てて洗い流す、1日1回、最大4週間という使い方で、基剤群より有意に有効でした。成人では4週間使用で皮膚萎縮が目立たなかったとする安全性試験があります。

■また、カルシポトリオール(ビタミンD3)外用液との比較でも、クロベタゾールシャンプーは頭部乾癬の紅斑・肥厚・鱗屑を速やかに改善し、患者満足度も高いと報告されています。

■長期管理については、急性期に毎日使用後、再燃抑制目的で間欠使用する試験があり、7か月間の維持療法でも皮膚萎縮・毛細血管拡張は目立たなかったと報告されています。

3. 頭部湿疹・脂漏性皮膚炎

「湿疹」として最も近い文献があるのは、頭部脂漏性皮膚炎です。
クロベタゾール0.05%(コムクロ®)シャンプー単独、またはケトコナゾール2%(ニゾラール®)シャンプー(本邦未発売)併用で、中等症〜重症の頭部脂漏性皮膚炎に有効性が示されています。一方、軽症でフケ程度なら、まずはケトコナゾール、ステロイドローション短期などで十分なこともあります。

 

なお、ステロイド外用薬については、塗布頻度(1日1回 vs 2回)間欠療法(週末療法)に関する研究は多数存在しますが、塗布時間(短時間塗布後の洗い流し)に関する研究は少なく「数十分から1時間程度の塗布でも、十分な抗炎症効果が得られるのではないか」という仮説を裏付ける研究は存在しますが論文的には報告は少ないです。

  • Vickers CF. "Existence of Reservoir in the Stratum Corneum. Experimental Proof." Archives of Dermatology (1963).

    • 概要: ステロイド外用薬が角質層に貯留することを初めて証明した古典的かつ最重要論文です。短時間の接触でも薬剤が皮膚内に留まり、持続的に作用することを示唆しています。

  • Rougier A, et al. "Relation between percutaneous absorption and clinical response to topical corticosteroids." Archives of Dermatological Research.

    • 概要: 塗布時間と経皮吸収量の相関を分析し、初期の数十分での吸収が臨床効果の大部分を決定づけることを議論しています。

  • Heirfel G, et al. "Short-contact therapy with potent topical corticosteroids for psoriasis and atopic dermatitis." (臨床報告例レベル)

    • 概要: 尋常性乾癬やアトピー性皮膚炎において、1日20〜30分のSCTが高い治療効果と安全性を両立させることを報告しています。

  • 1日1回 vs 2回塗布:15試験(n=1,821)のメタ解析では、1日1回と2回の塗布で治療成功率に有意差なし

  • 週末療法(維持療法):週2日連続の塗布により、再燃リスクが有意に低下(7試験、n=1,149、NNT=3) 

  • パルス療法:3-4日ごとの塗布でも、毎日塗布と同等の効果が示唆される小規模研究あり

 

 

ということで、

・痤瘡ではBPOは2-5分から開始し5-15分、アダパレンは30~60分程度の塗布後洗浄でも十分な効果が得られる可能性が高い

・ステロイドは1日1回塗布、改善すれば数日ごとの塗布(筆者注:ただし必要に応じ保湿は継続)が原則、ただし30-60分の塗布でも十分な効果が得られている可能性も

ということです。

 

本日は以上です🌃

明日からまた頑張りましょう✨️おやすみなさーい✨️

今年の目標2026(おそい)

みなさん、こんばんは。

 

少し更新が空いてしまいましたが、この数か月は公私ともに大きな節目の時間となっていました。

 

年末にはインフルエンザに罹患し、病床から思いがけず静かな年始を過ごすこととなりました。やはり病気はしんどかったですね。。

あんまりしんどかったので、しばらくブログから遠ざかってしまいました

(長すぎですな)。

気づけば季節は巡り、春、4月です。
今年は桜の見頃にあいにくの雨も重なり十分なお花見もできませんでしたが、

それでも新しいスタートを感じさせる時期です。

 


2026年春。
この春は、家族にとっても大きな転機となりました。

子どもたちはそれぞれ受験を乗り越え、春から新たな環境へ。
一人は家を離れ、それぞれの道を歩み始めています。

娘は高校を卒業し都内の大学へ。

これからの時代、先の見えにくい社会ではありますが、自分の足でしっかり立ち、力強く進んでいってほしいと願っています。
親として、引き続き静かに応援してまいります。


さて、自分自身についても、今年は改めて“積み上げる一年”にしたいと考えています。

【自己鍛錬】
日々の診療を支える土台として、身体と習慣の強化を意識しています。

ふとしたことからランニング仲間(リアルガチ勢)に恵まれ、

宮島マラソン(15km)に参加。

アップダウンが「ブリしんどいんじゃけ」

全年代含めて上位25%ならワシ的にはようやっとるおもうが・・




現在は月100km前後の走行距離ですが、

150〜200kmを安定して積み上げ、今年こそはフルマラソンへの挑戦も視野に入れています。

また、極真空手も始めて半年(白帯ですやん)。
まだ十分に取り組めているとは言えませんが、筋力・持久力ともに底上げしながら、長期的に継続していきたいと考えています。

加えて、早朝の時間を活用した学習、読書、運動、ペン習字も習慣化したいと思います。


【仕事】
おかげさまで、やなせ皮ふ科クリニックは3周年を迎えます。

日頃ご来院いただいている患者様への感謝の気持ちを込めて、少しでも還元できるような企画を検討しています。近々instagramにもアップします。また、スタッフへの感謝も込め、小旅行なども計画しています。

学術面では、これまで制限していた講演活動も再開し、できる限りお断りせず取り組んでいきたいと考えています。
単なる発表にとどまらず、日常診療に還元できる質の高いデータを整理し、将来的には英語論文化も視野に入れていきたい。。。

また、広島市中区医師会理事、広島臨床皮膚科医会の一員として、地域医療および皮膚科医療の発展に寄与できるよう、発信と行動の両面で責任を果たしていきたいと考えています。

 


世界に目を向けると、国際情勢や経済環境の変化が続き、不安定さを感じる場面も少なくありません。イラン・イスラエル・米軍の戦争も今後目を離せません。
原油入手困難に伴う物価上昇などは日常生活だけでなく医療現場にも影響を与えており、私たち医療従事者にも柔軟な対応が求められています。

 


新年度も、変わらず一人ひとりの患者様に誠実に向き合いながら、より良い医療を提供できるよう努めてまいります。

本年度もどうぞよろしくお願いいたします。

 

閑話休題。

 

本日は、昼・よるもいずれも講演会演者がありました。

いくつかスライドを添付します。

乾癬は肥満や高血圧、糖尿病、関節炎とその炎症を起こすサイトカインは共通しており
互いに悪影響を与えます

症状の軽い乾癬であっても、心筋梗塞、脳卒中いずれも悪化させ、「乾癬がある」ことがこれら心血管疾患の独立した危険因子です。重症の乾癬であればなおさらです。

乾癬は単なる皮膚疾患ではなく、全身性の炎症性疾患としての認識が必要です

皮膚症状がしっかりと外用を4週間おこなっても改善しないなら、全身療法(飲み薬や注射薬)の適応となります。

といったことをお話してまいりました。

 

では、、遅くなりました・・・ネマース