Yanase Derma’s Diary

皮ふ科専門医による皮ふ疾患や論文などの紹介です。https://www.yanased.com/

【皮ふの病気について】円形脱毛症について

こんばんは。

 

 

本日、日曜日午前に神戸まで赴き、

円形脱毛症の専門家の集う会に参加いたしました。

 

円形脱毛症では、

本邦の円形脱毛ガイドライン作成委員として

私の存じている山口大学の下村教授やもと大阪大学の乾先生のほか、

 

慶応で研究をしておられた大山学教授や浜松医大の伊藤泰介先生が

とても有名です。

このたび大山先生の講演を直接お聞きし大変勉強になりました。

 

 

 

かんたんに円形脱毛症のお話をします。

円形脱毛症の生涯罹患率は1-2%と報告されています。

自らの組織をターゲットして免疫が発動してしまう疾患は自己免疫疾患と呼ばれるのですが

円形脱毛症も自らの毛包をターゲットにした自己免疫疾患であるといえます。

誰もが円形脱毛症になるわけではなく、

やはりこの疾患感受性遺伝子有するかたがこの疾患を罹患するということです。

 

AAには多くの疾患感受性遺伝子が報告されています(一部抜粋) Genes 2023, 14(7), 1362

きっかけは、ウイルス感染症心理的ストレスなどの関与が知られています。

https://doi.org/10.1111/1346-8138.16207

治療は、ステロイドの投与や凍結療法、免疫療法、

重症例ではステロイドの大量療法(パルス療法)、

近年使用可能になったJAK阻害薬などが適応となります。

 

 

 

本日はかなり専門的な内容です。

 

総合病院時代は重症な円形脱毛症の患者ばかりみていましたので

ステロイドのパルス療法は積極的に実施していたのですが

開業してからも何名か実施しておりました。

 

大山先生に直接お話ししたところ、かなりリスクが高いので

やめておいた方が良いとご助言を受けました。

mPSLパルスのリスクのメタ解析が見当たらないためもう少し探してみますが、

秀先生にも大山先生にもやめておいた方が良いといわれたのであれば

開業医はハーフパルスといえども中止したほうが賢明です・・

今後クリニックでのパルスはしない方針とします。

 

バリシチニブ(オルミエント®)というJAK阻害薬の長期安全性のデータは4年まで示されています。

今後はいつお薬をやめらることができるか、

円形脱毛症のJAK阻害薬は中断できない可能性が高いです)

また中断再投与に関するデータが今後どうなるか、

今後まだ明らかにすべきことがらはたくさんあります。

 

 

本日は、かんたんに復習といたします。

さて、みなさま、梅雨でじとじとしていますが

明日から一週間、頑張ってまいりましょう!

 

 

追記)

このたび円形脱毛症のスライドを作成しました。

instagramにもupします。

また、明日から電子カルテがまったく変更になるため

明日からの診療がすこしばたつくかもしれません。

本日、外は大雨でしたが電子カルテ業者の方には誠意を尽くして対応していただきました。とても使いやすいカルテになりそうで楽しみです!!

ではでは、おやすみなさい。

 

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