こんばんは。ヤナセです。
Word Pressという有料(自分にお金かかるという意味です)Blogへの移行を考えています。
個人用ドメイン(.comなど)は入手したので、早く始めたいのですが・・・。
「先生のブログみつけられませんよ?」という声を後輩から耳にしました。
はてなブログは検索してもヒットしないのかな?
如何せん腰が重くていけません。
EndNoteという文献整理ソフトがあります。
ずっとまえに、お世話になっている大学の教授に導入を勧められたのですが
未だに足踏みしています(お恥ずかしい、、、)。
RUN友の外科医に走りながらそのことを話すと
「いままでEndNoteを導入していないのは信じられない」と指摘されました。
記事に書くのは極めてハズイことかもしれません(苦笑)
ただ、始めるべく本は買ってました。
実はケチって第6版を購入してました(💦@250円:中古)
さきほどamazonで新品を買いました!
著者が元広大麻酔科の讃岐美智義先生です!
患者さんの全身麻酔科かけてもらったこと何度もあります、気さくな先生です。
今後内容適宜upしようかな(讃岐先生にそれとなく内容の簡単な紹介していいか聞いてみよっかなっと・・・)。
さて、本日は症例報告致します。
開業医の先生からご紹介いただいた小学校低学年の子なんですが
躯幹四肢にところどころ膿疱を付した小豆大までの紅色丘疹や痂疲、びらんが散在しており、個疹には融合傾向なく、粘膜疹なし、発熱なし、リンパ節は正常範囲でふれました。個疹は新旧様々で治癒した後も炎症後色素沈着を残していました。
前医では1か月単位でストロング→ストロンゲストのステロイド外用、クラリスロマイシン内服、紫外線照射(NB-UVB)を複数回行っても改善しないとのことでした。
さて、診断はなんでしょう?
採血と生検をおこないましたが(結果は未)、
私の印象では臨床的にPLEVAかなと思いました。
PLEVAは当院では忘れたころにやってくる比較的まれな疾患だと考えています。
久しぶりに経験しましたのでまとめてみます。ちなみにDOXYを短期処方して説明と同意のうえ引き続き紫外線療法(NB-UVB)による治療を考えています。効かなければ説明のうえMTX試してみたいな・・・PLEVAは紫外線が著効する報告をときどき耳にしますが私自身は難渋した症例が多いです。通常膿疱は伴わないと思うのですがクロベタゾールをある程度外用されていたので副作用としての毛嚢炎のように見えました。
※pityriasis lichenoides et varioliformis acuta (PLEVA)
※DOXY:ドキシサイクリン、ビブラマイシン®:歯牙黄染の副作用はないです(訂正します)。
※NBUVB:narrow-band UVB: UVB特殊波長による紫外線照射,いつかまとめます
ちょっと古いですが下記の文献に目を通してみました。
これまでの自分のEvernoteまとめと合わせてまとめてみます。
Pityriasis Lichenoides et Varioliformis Acuta: Case Report and Review of the Literature
・苔癬状粃糠疹(PL)は急性型の pityriasis lichenoides et varioliformis acuta:PLEVAと慢性型のpityriasis lichenoides chronica:PLCにわけられる。
・炎症性角化症の類に分類される
【病態】
・原因は不明であるが、何らかの感染が引き金となってT細胞性免疫均衡の破綻や免疫複合体による過敏反応を来たすといった仮説がなされている。
・リンパ腫瘍丘疹症(lymphomatoid papulosis:LP) や悪性リンパ腫(malignant lymphoma:ML)にTcellの反応が類似したT細胞性のcloneが増殖している
・ウイルス、細菌、原虫などに対する免疫異常abberant immune response
HHV8、EBV,トキソプラズマ、VZV,HIV,溶連菌など
【臨床像】
・急性の多発性紅斑や丘疹、血痂を伴った壊死性丘疹
・個疹は数週で消えるが、新たな皮疹が出没を繰り返す
・脱色素斑や炎症後色素沈着を残して消退
なんらかの感染が先行することも。
Febrile ulceronecrotic Mucha-Habermann disease (FUMHD)といって
壊死性の皮疹が急速に拡大し高熱を伴うこともある
cardiomyopathy, central nervous system vasculitis, arthritis, interstitial pneumonitis, hematologic abnormalities, abdominal pain, diarrhea, sepsis, or other disorders
【経過】
PLEVA often follows a relapsing and remitting course prior to spontaneous resolution
再発と寛解を繰り返す 完全寛解までに時間を要する。
median duration of PLEVA of 18 months (range 4 to 108 months)
【病理】
・病理学的には錯角化をともなうmildなacanthosis表皮肥厚と基底層のvacuolar degenration空胞変性、necrolytic keratinocyte表皮壊死がみられ、表皮内にはlymphocytic exocytosisリンパ球浸潤やMany erythrocytes within the epidermis赤血球漏出がみられる。真皮内では血管周囲性あるいは付属器周囲性、あるいは苔癬状にリンパ球浸潤がみられるA dense lymphohistiocytic lichenoid infiltrate without eosinophils。
(他文献より引用させていただきました)
・免疫染色ではCD8陽性なことが多くCD4/CD30は陰性であって、この点が lymphomatoid papulosis:LPとはことなる
【治療】
良性で自然消退する疾患なので自然経過に任せるのも一法。
バリエーションや重症度が広くまとまった報告がない。
・抗生剤:テトラサイクリン。研究報告有り。MINOなど。2-3ヶ月かかる。
小児ではエリスロマイシン30-50mg/kg/dayも。
・光線療法(小児への長期照射の報告が少ないためセカンドラインとなるか)
・MTX内服
・ステロイドの外用
・タクロリムスの外用
・アシトレチン
・DDS(dapsone)
・シクロスポリン
・太陽光はよいが日焼けは避けるべき
【鑑別疾患】
・鑑別は虫刺症、水痘、ジャノッティクロスティ、ジベルバラ色粃糠疹類乾癬、血管炎、2期梅毒などである。
・PLとLPの関連は議論があるがCD30+となるTリンパ球の有無が決定的である。
別名で Mucha-Habermann disease といいます。
大学にいたとき、10年上の先生が「"ムッカーハーベルマン”ですね、これは。」
と初めて耳にしたときかっこいいなーって思いました。
とはいえなかなか難しい疾患です!
本日は以上にしますー。
ではでは・・。
免責事項:上記内容は筆者の各文献資料のまとめによりますが筆者の私見によります、実際の使用にあたっては主治医の先生の判断を仰いでくださいますようお願いします
適宜筆者判断で内容は改訂いたします