おはようございます。
昨日は朝から息子の習い事である極真空手の大会の観戦をしていました。
空手の黒帯の昇段審査ってのがあるのですが
10人組手といって
有段者の黒帯を相手に10人連続で10分間の組み手を行います。
極真空手は顔面や金的を除いてフルコンタクトなうえ
黒帯のパンチ力は素手で瓦や木の板を割るほどの破壊力がありますので
とんでもなく大変だなー、、と思って感心して観戦しました。
youtubeに別の道場の10人組手動画がupされているので貼っておきます。
うちの10歳の息子も空手の型と組み手でそれぞれよくがんばってました!
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さてさて、今日は脱毛症について書いてみます・・・
円形脱毛症は、ある報告では
本邦の皮膚科受診疾患の中で2.5%を占める疾患です。
円形脱毛症は、簡単に言うと
リンパ球という白血球により毛包が攻撃され
毛包が休んでしまった状態で、
ご自分の遺伝子型や自己免疫、ストレスなどにより発症します。
詳しくはコラムに記載していますので、
よければご参照してみてください。
当クリニックでは 各種検査のうえ
・ステロイドの外用、(内服;あまり使用しません)
・ケナコルト局注
・光線療法(エキシマライト)
・冷凍療法
・分子標的薬(オルミエントⓇ、リットフーロⓇ)(最重症例)
で加療は可能です。※SADBE/接触免疫療法は実施していません。
さて、
本日は、脱毛症のなかでも Frontal fibrosing alopecia とよばれる
「前頭部線維性脱毛症」についてまとめてみます。
いま当院に通院中のかたがいらっしゃるのですが
通常の治療では有効ではなく
毛髪治療の専門家の山口大の下村教授に紹介状をお書きして
行っていただいたこともあり
その治療を継続していますがなかなか難治な病態でお困りです。
本日は Intractable & Rare Diseases Research. 2016; 5(4):314-315 を読み解きます。
まとめ
・Frontal fibrosing alopecia(FFA)は毛孔性扁平苔癬(Lichen planopiIaris:LPP) の亜型
・閉経後の女性に多くみられるが,閉経前の30~40歳代の女性や,男性にもま
れにみられる
・5α-還元酵素阻害薬(5aRI)が本疾患の安定化に有効
・ヒドロキシクロロキン、外用カルシニューリン阻害薬(タクロリムス)、エキシマレーザーを併用することで、FFA患者の治療に最適な結果を得る
では内容を訳していきます(読み飛ばしてよいです・・・!)
デュタステリドが患者の約3分の1に使用され、47%で改善が認められた。
114人のFFA患者の治療反応を測定した全身的レビューでは、45%の患者が
フィナステリドまたはデュタステリドによる治療を受けた患者の45%が良好な臨床反応を示した。
ステロイド内服および外用は、活動性の治療に皮膚科医が一般的に用いるものである。
皮膚科医は活動性疾患の治療にステロイドを使用するが、FFAでは慎重に使用する必要がある。
この疾患の特徴である皮膚萎縮を悪化させるからである。
さらに、ミノキシジル外用薬も有用であり、検討すべきである。
経口フィナステリドとヒドロキシクロロキンの併用、
外用カルシニューリン阻害剤(タクロリムス)およびエキシマレーザーを併用することで、最良の結果を得ている。
我々の臨床経験では、エキシマレーザーは活動性の患者の炎症と毛孔周囲膿疱を軽減するのに非常に有効である。少なくとも1つの研究で、エキシマレーザーの有効性が確認されている。エキシマレーザーの有効性を確認した研究がある。
炎症の臨床的徴候の有意な減少を示した。
この研究では、エキシマレーザー治療は週2回行われた。
週2回、累積平均線量は4,300mJ/cm2であった
FFA患者には、フィナステリドが中心的な治療薬となり、疾患の炎症を阻止する。
ヒドロキシクロロキン、タクロリムス、エキシマレーザーを併用する。
その後、髪のボリュームを増やすためにミノキシジルを考慮すべきである。
ということで、
・ヒドロキシクロロキン(プラケニルⓇ)内服
・エキシマレーザー
・フィナステリド(プロペシアⓇ)内服
±ミノキシジル外用
が本論文では有効性が高いとまとめられていました。
ヒドロキシクロロキン(HCQ)はSLEの内服薬で適用がありませんし
眼科でのフォローが必須の薬剤ですので
簡単には処方できません。
当クリニックではこれまで本疾患に対して
(この疾患の患者さんはいままで1例しか見たことはありませんが)
・ステロイドの局注
・エキシマライト
・5%ミノキシジル外用
で加療してまいりました。
なお、本邦の日皮会誌という専門誌に発毛治療で有名な東京医大の先生のまとめがあり
やはりステロイドの外用や局注で加療されその半数が改善しています。
タクロリムス外用は光線療法併用が本邦では禁忌ですので
本邦では紫外線との併用は難しいと思います。
またフィナステリドの内服は本邦では男性型脱毛症にしか適応がなく、
女性への投与適応は微妙です。妊娠の可能性がある方には使えませんし
患者さんとの相談によると思います。
ということで、FFAの治療は
・眼科紹介のうえ、適応外のHCQ;プラケニルⓇ
・発がんなどを理解したうえで禁忌のタクロリムス+エキシマライト
・女性で処方適用がないことを理解いただいた上でフィナステリドの内服
・ミノキシジル(リアップ)外用
を行うかどうか、
という結論になりました。
やはり一筋縄ではいかず難しいようですね。。。
また患者さんと相談してみます。
以上です、ご覧いただきありがとうございました。
※この文章に書かれた内容は筆者の論文まとめおよび経験知識に基づいたもので、必ずしもすべての症例に当てはまるわけではありません。治療には専門家の指示のもと行っていただきますようお願いします。内容に関しては適宜改定・修正をする可能性がございます。