おはようございます。
ファミリードクターさんでコラムを書く機会を頂戴しています。
あと、円形脱毛症、乾癬、腋窩多汗症について書こうかなぁーって考えています。
今朝レーザー脱毛について脱稿したので(脱肛じゃないですよ。)
それについて書きますね。
[7]レーザー脱毛の原理と治療の実際
レーザー治療ってしばしば耳にしますが、
そもそもレーザーって何でしょう?
LASERとは?
LASERは〝Light Amplification by Stimulated Emission of Radiation〟
(誘導放出による光の増幅放射)
の頭文字をとったものです。とはいえ日本語にするとよくわからないですよね・・・。
レーザーと普通の光の違いは、レーザーは
[1] 一つの色(波長)でできていること(単色性)、
[2] 様々な方向を向かず波の方向が一定方向にそろい(高い指向性)、
[3] 波長の谷と山がそろっていること(位相の均一性)が特徴です1)。
レーザーは組織の選択性に優れ、通常の組織には影響をあたえず色素(メラニン)だけに吸収され熱エネルギーでこれを破壊します。ですから脱毛レーザーでは皮膚の他の部分はやけどにならず、メラニンを含んだ毛包のみを選択的に破壊することができるわけです。これを選択的高熱(Selective Photothrmolysis: SP)理論といいます。ただし、毛には成長期、退行期、休止期という周期があり、ひげで50%、わきやうで、VIOでは70~80が休止期にあるとされています。したがって、これらの部位では複数回の脱毛が必要になるわけです1)。
脱毛レーザーの種類1)
[1] アレキサンドライトレーザー(Alex: 755nm)
世界中で初期から最も使われていたレーザーで、照射速度が早く、スポット径も大きく、また痛みが少ないレーザーです。普通の部位ならよいのですが、深達性がやや劣るため、ひげ、上腕、背中では効果が出づらいことがあるとされています。
[2] ネオジム・ヤグレーザー(Nd:YAG: 1,064nm)
Alexの弱点を補うために脱毛に使われることが多くなったレーザーで、深達性に優れ、ひげなどの難しい部位やや硬毛化した脱毛にも使えます。AlexとYAGの波長を兼ね備えた機種(当院はこれを採用しています)もあります。ただし、痛みが強いのが難点です。
[3] ダイオードレーザー(Diode: 810/940nm)
Alexの次に普及しているレーザーで、故障が少なくメンテナンスコストが安く、波長特性もAlexとYAGの中間くらいです。ハンドピースが大きいため取り回しにくい点が難点でしょうか。
[4] 光脱毛 (500-1,200nm)
光脱毛はフラッシュライトの光であってレーザーではありません。キセノンランプの発光からでる広い波長の光をフィルターで美肌治療、血管性病変、脱毛まで広い用途に使用できます。凹凸の多い部位には使用しづらく、いわゆるエステティックサロンで使用される安価な機器もこれに含まれ、治療もおてごろな脱毛治療です。性能はあまり優れているとは言えず、マイルドな効果で多数回の治療が必要になる可能性が高いとされています。
脱毛施術の実際1)
- 施術部位の確認:治療当日、施術部位を確認します。皮ふ炎やキズ、皮膚がんや肝斑などがないか注意深く確認します。また、日焼けや色素沈着の有無、アザや入れ墨がないこと、さらに日焼け止めが塗られているとやけどの原因になりますので注意深く患者さんにも丁寧に確認します。
- 治療範囲をマークする:治療範囲の目安をマーキングします。
- 剃毛(ていもう):毛が伸びているとやけどの原因になりますので剃毛(ていもう)しますが、直前だと毛が分かりにくくなるため、できれば患者さん自身に2日前程度に剃毛することをお勧めしています。毛が薄い患者さんは剃毛の必要はありません。
- レーザー照射:施術者によりあて方が異なるのは好ましくありません。医師の指導のもと、適切な波長、ジュール数で施術する必要があります。また、顔面や上肢下肢、あるいはVIOなどの部位によって照射パラメータにより有効性がまったく異なるため、よく理解した医師により設定の監修が必要となります。
- 冷却・ローションの塗布:冷却は行ったほうがよく、また照射後にローションなど何らかの塗布が望ましいです。
脱毛レーザーでしてはいけないこと、注意すること
〇脱毛の計画の立て方ですが、2-3か月以上間隔開ける必要はありません。
それ以上間隔をあけると毛包をつくる幹細胞まで再生してしまうからです2)。
〇女性の顔面は肝斑を合併していると肝斑が悪化する可能性がありますので、肝斑の合併の有無に注意する必要があります。
〇照射頻度が高すぎると色が抜けてしまう色素脱失が起きることがあります
〇照射強度が弱ければ中途半端な照射のために逆に毛が濃くなる硬毛化現象が起きることもあります。
〇化粧品や日焼け止めが残ったまま照射するとやけどすることもあります。
〇禁忌:光線過敏症の患者さん、日焼けをしている患者さん、皮膚がんを有する患者さん、妊婦の方は脱毛をしてはいけないことになっています1)。
いかがだったでしょうか。皆さんの受けられる脱毛がイメージできましたでしょうか?あるいは、これまで治療を受けられたかたはどのようなレーザーの施術をうけておられましたでしょうk。
脱毛は(おそらく)一生に一度の高価な治療ですので、
専門の先生の常駐するクリニックでの治療が望ましいかもしれません。
みなさんもつるつるなお肌を目指しましょう!
【参考文献】
Dr.葛西の基礎から学ぼう医療レーザー脱毛, 日皮会誌:文光堂,2021
渡部晋一, 本当のレーザー治療・美容皮膚科治療:文光堂, 2021
以上です!
本日は病理の研究会に出席して症例提示してきます!
追記)
広島では病理組織検討会が定期的に行われており、
元京都大学病理学教授(!!)の真鍋教授に直接指導いただけます。
診断にちょっと悩んだ
・小児の一見環状紅斑にみえる膿疱性乾癬の初期像
・特発性に四肢に生じたlichen planus
についてそれぞれ症例提示し、診断通りだったのでうれしく思いました。
病理学も大好きなので、
開業してからも生検と病理診断のできるクリニックを目指そうと思います!