みなさま、こんばんは。
ここ最近急に冷え込みましたね。
今年は10月まで半袖ですごせるくらいあたたかな日もありましたのに
急激に冷え込んでほんとうに秋を通り越して冬がすぐ来てしまったようです。
・・・。
そりゃ、12月も終わりに近づくと冬ですな。当たり前でした。
バーローバーロー(コナン)
夏場に汗による湿疹でおいでであった方が、
秋を過ぎて冬になり、乾燥による痒みで再来されるケースが結構いらっしゃいます。
定期的にいらっしゃっている方には、9月に入ったころに
「10月に入ると急に湿度が下がって乾燥し、かゆみを伴うことが多いです」
「このころから保湿を十分心がけてくださいね」
と呼びかけているのですが
なかなかお忙しくていらっしゃることができないかたもいらっしゃいます。
乾皮症/ドライスキン と 湿疹 の関係を
アトピー性皮膚炎のケースでご説明してまいります。
(わかりやすく書くつもりですがかなり専門的な内容を含みます)
⓵ 皮ふが乾燥すると “かゆみ閾値(いきち)の低下”という現象が起きます。
これは表皮細胞から産生される伝達物質(これをサイトカインといいます)であるIL-33という物質が表皮の中まで神経を伸ばす作用により、C線維というかゆみを感じる知覚神経が表皮の中に伸びてくることによりかゆみを感じやすくなります。かゆみ閾値の低下とはかゆみを感じやすくなる、ということです。
②外的な刺激によりかゆみを感じて搔破行動が起こります
衣服のこすれとか、髪の毛があたるとか、熱いお湯に触れるといった外的な刺激によりかゆみを生じ、搔破行動を引き起こします。
③搔破行動によりさらにかゆみが誘発され、搔破により皮ふバリアが壊されます
皮ふのバリアが壊されると、ダニ由来のアレルゲンや表皮に付着しているブドウ球菌と呼ばれる細菌などの外部からの異物が表皮に侵入しやすくなり、2型炎症反応の誘導が亢進します。(※筆者注、下記参照)
④2型サイトカインの分泌
2型サイトカインと呼ばれるIL-4、IL-13、IL-31といったサイトカインが主にTh2細胞から分泌され、知覚神経線維に作用してかゆみをさらに感作します
⑤ Itch-Scratch (かゆみ-搔破)サイクルの完成
このようにして乾燥肌があるといわゆる〝かゆみ過敏〟の状態となり、〝痒いから掻く、掻くとさらに悪化する〟搔破行動の悪循環のスパイラルを繰り返すようになります
※本論文ではアトピー性皮膚炎の痒みメカニズムについて記載されています。
※通常の乾皮症、ドライスキンのかゆみメカニズムは、2型Thサイトカインの機序が該当しない可能性があります
⑤ ではどのように治療するか
1) こまめな清掃
2) ていねいなスキンケア
体をゴシゴシこすらずにやさしく洗浄します 熱いお湯は避けましょう
3) 保湿剤、ステロイドの外用法
1日1-2回の塗布で十分で、とくにこすらないようにひふのシワの方向に沿って
保湿剤をやさしく塗布しましょう。かゆみを伴う部分、がさがさしたところには医師の処方された適切な強さのステロイドを併用しましょう。
4)併用することのある治療
とのことで、
乾燥肌は痒みを引き起こすため
秋以降は十分な保湿が必要で、かゆみがあるようでしたらステロイドの外用も
必要ということがわかっています。
強い痒みでお困りの方がおられましたら
知覚の近くの皮ふ科へ、あるいは当院までおいでください。