Yanase Derma’s Diary

皮ふ科専門医による皮ふ疾患や論文などの紹介です。https://www.yanased.com/

アトピー性皮膚炎再考

みなさまこんにちは。

 

紙屋町やなせ皮ふ科 院長のやなせです。

今週末は3連休でしたね。この土曜、10/7は診療後から

 

佐賀県の懇意にしている永瀬先生にお招きいただき

佐賀まで足を延ばして講演をしてまいりました。

S・A・G・A、佐賀ーーー

 

患者さんへのアトピーとはなんであるかの説明、その生活様式のご説明方法、外用や内服の説明、そして新規治療法の概説をお話しいたしました。

 

私が作成したスライドのうち、

外来で説明している内容を含めていくつか添付します。

アトピーは ①かゆい ②特徴的な湿疹で ③慢性的に経過します

アトピーは多遺伝子性疾患で①バリア機能異常②Th2への偏重(いわゆるアレルギー体質)が特徴

アトピーの病態は①皮膚のバリア機能異常②かゆみ/掻くこと③Th2サイトカインの誘導 

アトピーの治療の3本柱は①悪化因子の除去②スキンケア③薬物療法 

アトピー性皮膚炎全身療法の展望

重症アトピー性皮膚炎治療選択方法

会場の先生からのご質問で

衛生仮説(Hygiene hypothesis: 感染症の少ない衛生的な環境ではアレルギー疾患の発症が高まるのではないかという論理)についてご質問いただきました。昔は不潔な環境だったからアレルギーがすくなかったが、清潔な環境の現在ではアレルギー疾患が多いのではないかと。

これに関しては以前私も興味をもって調べたことがあるのですが、

アトピー性皮膚炎は紀元前のアウグストウゥスの時代から報告があることから、不潔な環境であってもアトピーは発症しうるということ、

 

また以前衛生仮説がもてはやされたけれどもいくつかの反証があって

現在ではその議論は下火になっていると思われます、とお答えしました。

 

衛生仮説であるとか、

腸内環境がすべての元凶であるとか

しばしばネットで散見しますので

これについては改めて論文を調べて報告することとします。

 

翌日は福岡から広島を経て神戸まで。

神戸ポートピアホテルで、各地域でアトピーの講演をするDrを集めた

クローズドの会で新薬の使い分けについてあらためて学びました。

 

こういった講演会にお見えの先生がたは大体決まっていますので

顔見知りの先生方が多くなってまいりました。

京都府立のガイドライン策定委員の先生、東京慈恵医大のかゆみのスペシャリストの先生、その他国内のご高名な先生方とお話しし議論を交わしました。

 

さて、明日からまた一週間頑張ります!