Yanase Derma’s Diary

皮ふ科専門医による皮ふ疾患や論文などの紹介です。

【まれな皮膚疾患】薬剤過敏症症候群~特殊な薬疹~【講演会まとめ、専門家向け】

みなさん、おはようございます。

 

院長です(気が早い。)

 

 

昨夜は、広島に

奈良県立医大の准教授の新熊悟先生がおいでで、講演をなさいました。

 

昨日は朝の外来後に午後有給を取得し、

午後から医師会に赴いて地域の開業医さんのリストをいただいて、

まずは当地区の医師会長さんにご挨拶に伺いました。

今後は地域の開業医さん巡りをして挨拶して回る予定です。

さて、ということですのでちょっと疲れてて、勉強会には

家からWebinarで参加しました。便利な時代になりましたね。

 

 

奈良県立医大は薬疹で有名な浅田 秀夫教授がおられますし

新熊先生は北大医局ご出身だそうで、

一時はSJS型薬疹で有名な阿部理一郎教授とともに新潟に移られたとのこと、

薬疹の研究にお詳しいかたです。

 

北大の教室は、富山大教授の清水忠道教授、東京医科歯科の西村栄美教授、弘前大学の沢村大輔教授、名古屋大の秋山真志教授など錚々たる先生方を輩出しておられます。

前教授の清水宏先生をはじめ素晴らしい研究者のかたがおられます。

 

私にも北大には何名か知り合いの先生がいて、ご一緒したことがあるのですが

やはり優秀な先生方でした。

北大には学会発表するときには論文化してアクセプトを受けたのちでないと発表が許可されないという厳しい掟があったように思います。

 

さて、前置きが長くなりましたが薬疹とアトピー性皮膚炎の関連について

お話を聞きましたのでまとめます。

 

薬疹には、

・紅斑丘疹型薬疹 maculopapular type、

・多型紅斑型   erythema mulitiforme type

・紅皮症型 erythroderma型

などがあるのですが、

一型として

・薬剤過敏症症候群(DIHS) という一群があります。

以前 私が講演に用いたスライドから一覧をお示しします。

 

こうみるとDIHS(我々はディースと呼びますが、

海外ではディーエイチエスと呼ぶとのこと)

 

DIHSの診断基準は以下の通りです。

原因薬

原因薬として以下のものがあります。

抗けいれん薬:

カルバマゼピンテグレトール®)、

ラモトリギン(ラミクタール®)

フェニトイン(アレビアチン®、ヒダントール®)

ゾニサミド(トレリーフ®)

フェノバルビタール(フェノバール®)

サルファ剤:

DDS(ダプソン、レクチゾール®)

サラゾスルファピリジン(サラゾピリン®)

ST合剤

アロプリノール(ザイロリック®)

メキシレチン(メキシチール®)

ミノサイクリン

など、限られた薬剤ののちに生じます。

 

DIHS発症の機序の仮説

限られた薬剤の摂取

⇒ T cellの活性化

⇒ HHV-6の再活性化 として二峰性の症状を生じ

そののちにHHV-7,CMVなどの再活性化を生じる との機序とのことです。

HHV-6はヒトヘルペスのベータウイルス亜科で、マクロファージやリンパ球に潜伏感染します。

 

帯状疱疹の基礎 | マルホ 医療関係者向けサイト

(マルホさんHPより引用)

 

通常、HHV-6は初感染では突発性発疹症として罹患します。

突発性発疹Exanthem subitum)は

・乳児期に発症するのを特徴とする熱性発疹性疾患で

・38度以上の発熱が3日間ほど続いた後、解熱とともに鮮紅色の斑丘疹が体幹を中心に顔面、四肢に 数日間出現して

・随伴症状としては、下痢、眼瞼浮腫、大泉門膨隆、リンパ節腫脹がみられ

・一般に予後は良好ですが

・まれに脳炎、脳 症、劇症肝炎、血小板減少性紫斑病など重篤な合併症をおこす

とされています。

 

DIHSの病態におけるHHV-6の役割

DIHSが疑われた100例についての報告がありますが

・HHV-6再活性化群では熱発期間が延長し、LN腫脹・WBC増多・異形リンパ球の出現率が高く、重篤な肝障害が多く、重篤な腎障害/生命予後不良の群ではすべてにHHV-6の再活性化がみられたとのこと

pubmed.ncbi.nlm.nih.gov

 

DIHSにおいて潜伏感染は単球/マクロファージ、骨髄前駆細胞ですが

増殖の場はCD134陽性のCD4陽性細胞だそうです。

ですのでsolubileCD134はDIHSの診断に有用で重症化の指標となりうるとのこと

 

また、DIHS後には遅発性合併症として自己免疫性疾患を発症することは有名で

脱毛症や白斑、甲状腺機能異常などを発症することがあるのですが

これはDIHS発症後、HHV-6が一過性でなく、持続感染していた症例にほぼ全て起きているとの報告が蓄積されているとのことでした。

 

私もST合剤投与によるDIHS発症例を経験したことがあり

これは当時の同僚の森田先生が英文にまとめてくれました。

彼女はのちに川崎医大に異動され、そちらで

川崎医大の青山教授にご指導いただいたものです。

(私が英文指導したわけではありません、悪しからず。。。)

 

このかたは、1.5mg/kg/dのPSL投与・IVIgと濃厚な治療をしたにもかかわらずDIHS発症後、1型糖尿病・全頭脱毛・白斑(Vogt-小柳-原田病)・甲状腺機能異常ととても残念なことに後遺症を残してしまわれました。きっとこのかたもHHV-6の持続感染をきたしていたのでしょう。いまもどうか元気に暮らしておられることを願ってやみません。

pubmed.ncbi.nlm.nih.gov

 

私はいままで自分が処方した薬で重症薬疹を発症してしまったことはないのですが

よく処方するアセトアミノフェンやNSAIDs、またST合剤やMINO、DDSなんかも使いますのでつねにその処方にあたっては細心の注意と

ときに重大な副作用が起きうることをきちんとご説明せねばなりませんね。

 

・・・今見直してみて、

アトピーと薬疹の関連が書かれていませんね💦

薬疹でもTARCが高値となるのが特徴です。

 

 

さて、長くなりました。

きょうも一日頑張りましょう!