Yanase Derma’s Diary

皮ふ科専門医による皮ふ疾患や論文などの紹介です。

【勉強会復習】pollen food allergy syndrome;花粉・食物アレルギー症候群 【専門家向け】

こんばんは、2023/4に

広島市の紙屋町で皮ふ科/美容皮膚科を開業予定のやなせです。

看板をそろそろ掲示することになっています☺ 楽しみです・・・

本日は、同門の広島大学ご出身で現相模原病院の研究室長、福冨先生が来広され

(2004卒でお話しすると在学中に私のことをご存知で面識がありうれしく思いました)

アレルギーの講演をいただいたので勉強会まとめをします。

まったくもって専門家向けです。

後半は私の症例を含めてアトピーに関してディスカッションが行われましたが、その考察もしたいと思います。

 

福冨先生のおはなしを復習を兼ねてまとめます。

 

[1] PFAS pollen food allergy syndrome; 花粉・食物アレルギー症候群

カニ・エビを食べてアレルギーがでた」

という話を聞いたことがある方もおられると思います。

 

スギやヒノキによる花粉症は有名ですが、

この原因となるもの(抗原といいます)は

類似した抗原と反応し(交差反応といいます)同様の症状を起こすことが知られています。

 

①スギ・ヒノキ

バラ科の食物(例えばリンゴ、モモ、サクランボ、ウメ、アーモンドなど)と交差反応があり、

その主要たんぱくはgibberellin-regulated protein (GRP)であることが知られているようです。

 

②ハンノキ・シラカンバであれば

バラ科(リンゴ、桃、サクランボ、梨、アンズ、アーモンド、ビワ、イチゴ、洋ナシ、スモモ)

マメ科(大豆(特に豆乳)、ピーナッツ、緑豆もやし)

マタタビ科(キウイフルーツ

・カバノキ科(ヘーゼルナッツ)

・セリ科(セロリ、ニンジン)

・ナス科(じゃがいも、ししとうがらし)

と交差性があります。

その主要抗原たんぱくはPR-10と同定されています。

③イネ・ブタクサ・ヨモギ

メロン、スイカ、セロリなどのウリ科と交差性があります。

その主要抗原はprofilinとのことです。

 

これらに反応してしまう方は

これら特定の食べ物を食べると口の中やのどがかゆくなったり、

唇が腫れたりする口腔アレルギー症候群(OAS)が合併することがあります。

 

また、これらの抗原にアレルギーを持つ方は重複してみられるかたがおられます。

Proportional Venn diagram of children with IgE sensitization to three... |  Download High-Quality Scientific Diagram

※スギ・ヒノキと交差性があるのはナス科となっていますが、

福冨先生にご確認したところそのような報告が2000年に小児科よりなされたが

実際に目にするのはバラ科やオレンジが圧倒的に多いそうです。

 

[2] 食物アレルギー(Food allergy; FA)

重症の手湿疹の 1/3は何らかの食物アレルギーFAを有し

その重症度とアレルギーの強さは相関関係がある:ということだったと思います

手湿疹の患者さんは多いのですが、食物アレルギーと相関があることを

日々の臨床で忘れがちになっていないか。

その可能性を忘れないように改めたいと思いました。

 

FAやアトピー性皮膚炎のあるかたは、職業選択時に食物の接触源などに触れる仕事に就業するときにはよく考える必要があることを改めて注意喚起をされておられました。

 

接触源はさければ抗原性は下がりますから、これまでの患者さん指導では、手袋をしたりしてなるべく抗原や悪化因子に触れないように、抗原から避けることを説明してまいりましたがその重要性を改めて心に刻みました。

 

[3]アニサキスアレルギー

アニサキス症(アニサキスの生食をさければよい)と

アニサキスアレルギー(熱してもダメ)は異なる疾患 とのこと

 

[4]食物アレルギー

 

甲殻アレルギーは生で駄目な方、ボイルしてもダメな方、イカやタコやエビなどどれがだめかなどはまだ人により異なるなど、まだまだ未知な部分が多く症例によりことなるとお聞きしました。

 

他にも、多種化学物質過敏症のお話などもありました。

 

これらについてはまた時間があれば調べてみたいと思います。

 

以上です。

しかしアレルギーは奥が深い・・・。

食物アレルギーガイドラインを見てみると

福冨先生は作成委員会の外部委員でいらっしゃいました。

ガイドラインは通読し理解を深める必要があると思いました。

Bet v1 とか Bet v2 とかPruなどの抗原の多様性も面白そうです。

https://minds.jcqhc.or.jp/docs/gl_pdf/G0001331/4/food_allergies.pdf

 

追記)

後日談ですが福冨先生とお話ししいろいろと教えていただき興味を持ちましたので

アレルギー学会にも入会登録をいたしました。

総合病院ではアナフィラキシー含めて多くのアレルギー疾患も目にしましたので

基礎や研究はしておりませんが臨床医として現場で治療にあたりたいと思います。

 

後半で、

アトピー性皮膚炎でなにか症例がないか依頼されてたので提示したのですが

私は

JAK阻害薬(JAKi)の効果が減量後不十分となり

デュピルマブ(DUP)へ変更した症例を提示して

DUP ⇒ JAKiはあるが JAKi ⇒ DUPは珍しい、

と座長の秀先生から総評をいただきました。

 

質疑応答、ディスカッションでは

JAKiの一種類がダメならなぜ他のJAKiにスイッチしないのか、と聞かれましたが、これは長期処方の観点からだとお答えしました。

 

アトピーに短期ステロイド内服はどうなのかとも会場の先生から聞かれましたが、

僕はガイドラインで長期投与は推奨されていないので

痒みにもsharpに効果があるので私は使うとしてもCyAとお答えしました。

秀先生もステロイドの全身内服を短期で使うのはなかなか切ることができず

難しいとのご意見でした。

 

他院の症例では、

コロナワクチン後に生じた乾癬かアトピー

いずれもの特徴をもつような紅斑で

採血結果ではIgE, TARCが高くアトピーのような、病理像は乾癬のような症例が提示されました。

アトピーとしてよいのか、乾癬なのかの議論になりましたがとても興味深く拝聴しました

私は、

アトピーの定義はバリア機能異常に基づく慢性の急性、慢性の湿疹病変であることより、igeやTARCが高いとはいえ本症例はアトピーとは言いづらいのではないか、

多形慢性痒疹としたほうがよいのではないか、

または乾癬様の中毒疹ではないかとコメントしましたが

多数の参加者のおられる中また出しゃばったことを言ってしまったな

と反省しました、、

 

 

さて、明日は

三次にてアトピーの講演会に呼ばれています。

 

ねます。。おつかれさまでした。