Yanase Derma’s Diary

皮ふ科専門医による皮ふ疾患や論文などの紹介です。https://www.yanased.com/

ステロイドの使い方のすべて その歴史と作用機序、副作用、つかいかたについて

こんばんは。

 

 

先日のブログでは、ステロイドの使用を急にやめることのリスクや

ステロイド外用がいかに大事で根本的な治療かということを書きました。

blog.hatena.ne.jp

今後、ステロイド外用剤についてまとめていきたいと思います。

現在はステロイド外用剤に代わる、タクロリムスや、

さらにはJAK(ジャック)阻害薬という新薬もありますのでそれらについてもいずれ触れていきたいと思います。

 

本日は、医師にとって必須の薬剤

ステロイド使用に関するまとめをしてみたいと思います。

極めて膨大ですので外用剤については本日は触れません、後日詳述します。

(よいまとめがありました https://www.fpa.or.jp/library/kusuriQA/03.pdf )

※本日のまとめは全身投与です、外用など局所投与の副作用ではないことをあらためてご確認ください

いままで自分用覚書としてEvernoteというCloudにまとめていたものを提示したいと思います。興味ある項目のみごらんください。

(どちらかというと医師や専門家向けかもしれません)

先にステロイド全身療法のマトメを書きます。

1) ステロイドは体内でつくられる副腎皮質ホルモンで、強力な抗炎症作用と免疫抑制作用がある

2) ステロイドはPLA2:フォスフォリパーゼという体内の酵素を阻害することによりその下流にあるロイコトリエンやプロスタグランジン、ICAMなどの各種サイトカインを抑制することにより抗炎症作用を発揮する

3) ステロイド内服の長期副作用として、骨粗鬆症、脂質異常、高血糖、免疫抑制による感染症緑内障などの眼症状があり、それぞれに対応が必要

4) 一般的に初期量を2-4週投与後、1-2wkごとに5-10㎎/週ずつ漸減する

 

以下長いので読み飛ばしていただいて大丈夫です

1) ステロイドの歴史(いらないかな(;'∀'))

副腎皮質ホルモン(ステロイド)は皮膚科領域では類天疱瘡などの水疱症、血管炎、膠原病では全身性エリテマトーデス、皮膚筋炎/多発筋炎、全身性強皮症など今でも多くの免疫疾患の治療の柱と位置づけられています。外用薬としての使用は、アトピー性皮膚炎や湿疹の基本的治療であり、治療管理が容易になりました(副作用の発現には留意する必要があります)。副腎皮質ホルモンは皮膚科や免疫アレルギー内科のみならず、臨床の各科においても重要な薬のひとつとなっています。内服薬(全身投与)と外用薬(局所投与)としては異なり、局所投与であれば全身投与の影響は大きくありません(strongest)クロベタゾール全身塗布10g(チューブ2本分)でPSL内服5-10mg換算といわれています。
 
副腎皮質ホルモンの構造、生物学的活性の発見に関して1950年ノーベル生理学医学賞がEdward Calvin Kendall (Mayo Clinic, USA)、Tadeus Reichstein (Basel Univ., Switzerland)、Philip Showalter Hench (Mayo Clinic, USA)に授与されています。KendallとReichsteinが米国と欧州にて、競うように副腎皮質ホルモンの精製、構造決定を行いました。Kendallと同じMayo Clinicで働くリウマチ医であったHenchが病院で関節リウマチの患者さんに投与したところ、劇的な症状改善を示したことにより、副腎皮質ホルモンの持つ強い抗炎症作用が明らかとなりました。

 

2)ステロイドの薬理作用機序

 
ステロイド(グルココルチコイド:GC)は、細胞膜を通過後、細胞質のグルココルチコイドレセプター(GR: glucocorticoid receptor、ほぼすべての細胞に存在する)に結合します。ステロイドの結合したGRは、核内へ移行し、標的遺伝子の発現を転写因子レベルで調節すると考えられています。転写因子NF-κBやAP-1などと相互作用することが報告され、この結果として、炎症に関与するサイトカインなどが負に制御され、免疫抑制作用が発揮されます。
 

ステロイドは、 リポコルチンの産生を促進することでホスホリパーゼA2(PLA2)を抑制し、アラキドン酸カスケードを抑制するという説から、 ホスホリパーゼA2を直接抑制しているとされます。

炎症部位で誘導されてくるCOX-2(シクロオキシゲナーゼ-2)の誘導を抑制することでPG類による血管拡張、血管透過性亢進から起こる白血球の遊走→炎症反応や ブラジキニン増強作用による痛みを抑制します。

 

また、Ras - Raf-1 - MEK - ERK1/2 - cPLA2 の下線部をいずれも抑制します。また、血管透過性を低下させるが、この機序は内皮細胞の機能を抑制するのみならず、LTB4,C4、PAF、RANTES、エオタキシンなどの各種ケミカルメディエーター、
FceRⅠによって誘導されるサイトカインのうち、 LTB4, IL-3,IL-5,IL-13,(TNFα) GM-CFS なども抑制します。



ステロイドの作用機序

副腎皮質ホルモン(広義でステロイド)はその名のとおり、副腎皮質から分泌されるホルモンです。副腎というのは腎臓の上にある小さな臓器で、主にホルモンの分泌に関与しています。

ステロイドホルモンの分泌には日内リズムというものが存在し、深夜から朝にかけて多く、それ以降は徐々に下がり夕方ごろ最低となるという一定のリズムがあります。

フィードバック機構は分泌が多い深夜から朝にかけて起こるので、このとき血中のステロイドホルモン濃度が高いと、脳が「もうホルモンを分泌する必要はない」と判断し、 CRHによる通常のホルモン分泌を妨げることになるので、副腎皮質の萎縮が起こってきます。

このため、ステロイドホルモンの内服は フィードバックが外れた朝にあわせると、自分の副腎への負担が少ないといわれています。

3) ステロイド薬の分類
種類
組成
用量(/日)
用法(/日)
 
cortisone acetate
錠: 25mg
12.5-150mg
分1-4
コートン
hydrocortisone
錠: 10mg
10-120mg
分1-4
コートリル
prednisolone
錠: 1mg, 5mg
5-60mg
分1-4
methylprednisolone
錠: 2mg, 4mg
4-48mg
分1-4
メドロール
triamcinolone
錠: 4mg
4-48mg
分1-4
レダコート
dexamethasone
錠: 0.5mg
0.5-8mg
分1-4
デカドロン
betamethasone
錠: 0.5mg
0.5-8mg
分1-4
リンデロン

 

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私はPSLやRD、mPSL以外はあまり使いません。

 

4) ステロイド薬の副作用

 

ステロイド長期使用が必要な場合のベースライン評価
(投与開始前に調べること)


1. 感染症結核家族歴」の聴取、胸部Xp、IGRA、 βDグルカンなど
2. 耐糖能異常 空腹時血糖、HbA1c
3. ステロイド誘発性骨粗鬆症 骨密度測定、骨折リスク評価
4. 消化管潰瘍 既往歴、便潜血、上部消化管内視鏡
5. その他 血圧、簡易認知機能検査

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副作用
対策
血圧上昇
通常の高血圧に対する対応(肥満の是正、減塩、降圧薬)
浮腫
体液管理(輸液量、利尿薬)、減塩
耐糖能障害
肥満の是正、糖尿病に対する対応(食事療法、投薬、インスリン使用など)
脂質代謝異常
通常の高脂血症に対する対応(食事療法、肥満の是正、投薬)
カルシウム摂取、適度な日光暴露と運動、予防内服(Bisphosphonate, VD, VK など)
骨頭無菌性壊死
局所の安静(荷重負荷を避ける)
易感染性
栄養状態の維持、感染予防行動、予防内服(抗結核薬、ST合剤など)
消化性潰瘍
制酸薬の投与、H.P.除菌、NSAIDS使用の抑制
筋力低下
 
moon face
 
精神症状
減量、精神科・神経科的な管理
不眠
ざ瘡、皮膚線条
 
眼科的なコントロール
白血球増多
 
低K血症
K含有量の多い食品の摂取(野菜、果実など)、K製剤内服
副腎不全
緩徐な減量・中止、ステロイドの補充

 

無視できない副作用 
1. 骨粗鬆症

PSL 5mgを3ヶ月以上投与する際は、予防をする。 ビスホスホネート・活性型ビタミンDなど。 ガイドラインあり(http://www.josteo.com/ja/guideline/doc/15_1.pdf)。

骨粗鬆症は、慢性的なGCの使用で認められる副作用として確立している。
その発生はGCの容量と使用期間に依存するが、安全域に関してはまだコンセンサスはない。ある報告では
7.5mg/日以下の使用なら比較的安全と報告しているが、7.5mg/日を20週の使用で骨密度(椎体)が約9.5%低下したとの報告がある。GCの隔日投与は骨密度低下をきたさなかったという報告もある。Prospective studyのレビュー(約1200名)によると、約9mg/日のGCの投与にて1.5%/年の骨密度(椎体)の低下が認められるとしている(ビスフォスネートの投与はなし)。RA自体が骨密度の低下や転倒を引き起こし骨折のリスクになるが、GCの長期使用により骨粗鬆症のリスクはさらに2倍になる。Multicentre cross sectional studyでは、椎体の変形がRAに対するGC使用で25%に、コントロールでは13%認められた。UKのデーターベースからのretrospective cohort studyでは、椎体骨折は2.5mg/日以下の使用でも55%の増加、7.5mg/日以上の使用では400%の増加が認められた。
RA自体が骨粗鬆症のリスクになるが、GCの使用でRAが改善することにより、骨粗鬆症の悪化を防ぐことができる可能性はある。累積投与量が骨量低下の程度の関連するかについては両論ある。
閉経後の女性に対するGCの使用は椎体骨折の大きなリスクになる。またGC使用にて骨密度が保たれる患者でも骨折が起こるとも報告されている。
4つのRCTのレビューではGCの2年間の使用では骨密度低下の程度に統計学的な差は認められなかった。COBRA studyでは骨密度の低下が認められたが統計学的には有意ではなった。骨折の発生はLTDP studyでは同等、Utrecht studyでは2倍のレントゲン上で椎体骨折を認めたが統計学的に差はなかった。
骨粗鬆症はおそらく慢性的な少量GC投与にて起こりうる最も一般的な副作用であるが、幸いその予防法がある。GCによる骨粗鬆症に対する予防法は確立しておりガイドラインも存在している。
2. 感染症

PSL 20mg以上のとき、リスク2倍。PSL 0.6mg/kg以 上のとき、さらにリスク増。細菌感染は早期に、抗酸菌・ウイルス 感染(帯状疱疹など)・真菌は長期治療時に生じやすい。 

GCの使用はウイルス、細菌、真菌感染などの可能性の増加と関連している。しかし、その機序に関しては完全には分かっていない。単球の機能低下など多くの作用は、GCの中止にて速やかに改善する。そのためか、少量短期間の使用では感染症の危険性は小さい。危険性は、用量と使用期間に依存し、累積投与量が多くても、少量の使用ならその危険は小さい。様々なGCの使用による様々な疾患の2000名を含む71のメタアナリシスではGC使用によるrelative riskは2.0であった。RAの患者を含む5つの報告ではリスクの増加は認めなかった。2つのRAに特化した報告では、重症な感染症プラセボ群と同等か、若干の増加を認めたのみであった。SLEではGCの使用にて日和見感染が増加するとの報告がある。4つのRCTでは感染症の増加は認めなかった。
臨床家はGCの使用は臨床症状をマスクし診断の遅れをもたらす可能性があるため、日常的な感染症に対しても、非日常的な感染症に対しても気を配る必要がある。特に厳しい免疫抑制状態にある患者に対しては結核などの潜在性感染症に対して配慮する必要があるかもしれない。ニューモシスチス肺炎に対しては特に配慮が必要で、16mg/日を8週以上の使用でそのリスクが上昇すると一つの研究で報告がある

※バクタ ST合剤の適応基準

●非HIV患者における予防
 プレドニゾロン16mg/日以上、8週間以上の投与でリスクが増加するため
 これを治療開始の目安としてもよい。
      N Eng J Med 2004;350: 2487-98

厚生労働省免疫疾患の合併症と治療法に関する研究班
 年齢50歳以上で、かつ以下のうちいずれかを満たす場合に予防投与を行う
 1.プレドニゾロン換算1.2mg/kg.day以上
 2.プレドニゾロン換算0.8mg/kg/day以上かつ免疫抑制剤併用時
 3.免疫抑制剤使用中で末梢血リンパ球数500/μL以下


3. 耐糖能異常

GCは、肝臓での糖合成やインスリンの産生やインスリンの抵抗性に影響を与えることで血糖を上昇させる。
糖耐性に異常がない場合、空腹時血糖はわずかに上昇する程度だが、食後血糖が上昇する。糖尿病の患者の場合、その傾向は強くなり、罹患期間が長い場合さらに顕著である。
GCによる高血糖は用量依存的である。少量のGCでも起こる。GCの関節注射でも起こりうる。家族歴、高齢である、肥満といった糖尿病を発症するリスクがGC高血糖になるリスクとなる。普通はGCを中止すれば速やかに改善するが、時にそのまま糖尿病に移行する
投与量の次にGCのタイプが重要である。Hydrocortisoneに比較して、prednisoneは4倍、dexamethasoneは30倍の影響がある。
4つのRCTでは新規の糖尿病の発症は認めなかった。Utrecht studyでは空腹時血糖の上昇は認められたが、高血糖となったのはプレドニン投与群(N=40)で2例、プラセボ投与群(N=41)で1例であった。
腎移植で高用量GC使用時には、インスリン依存性糖尿病の場合、必要なインスリン量は58%高くなる。
糖尿病患者に対する少量GCの影響に関するデーターは見つからなかった
 4. 消化性潰瘍

ステロイド単独ではリスクは高くないと考えられ ている。胃粘膜保護薬程度で良い。NSAIDsとの併用でリスク高く、 PPI併用が望ましい

副腎皮質ステロイドは少量では潰瘍の形成に予防的に働く。ただし大量の薬理量のステロイドではPGE2低下と胃酸分泌亢進がおき潰瘍が形成されやすくなると考えられる。
ステロイド使用者のうち20%程度に潰瘍が存在すると報告されているが、多くはNSAIDs併用例である。
NSAIDs併用例では胃潰瘍の有病率は15% ステロイド自体が潰瘍の発症リスク因子とは言えない。2000年のWeilらのLogistic解析による報告では
血小板凝集剤使用:OR:7.8,潰瘍の既往あり:OR:3.8、心不全:OR:5.9、NSAIDs使用:OR:3.8、ステロイド使用:OR:2.6、NSAIDs/ステロイド併用:OR:9.0 ステロイドはNSAIDs併用でリスク増大;創傷治癒遅延による。ステロイドは弱い潰瘍リスク因子でリスク費は2.0程度である
ただし他の因子と併用であ悪化しやすい。治療にはPPI、ミソプロスト0ール(妊婦使用不可)
5. 無菌性骨壊死

骨壊死は長い間、高用量のGCの使用によって起きると考えられてきた。日本の大腿骨頭壊死に対する検討では、35%がGCと関連していた。しかしSLEのようにそれ自体で骨壊死がおこるような基礎疾患がある場合、GCによるものか、基礎疾患によるものかの判断の難しさがある。GCが骨壊死を起こすことに疑問を投げかける一つの理由になっている。骨壊死はGCの用量依存性に発生するが、これも基礎疾患が重症である影響なのかもしれない。GC投与にて2.4%の患者に骨壊死が起きたという報告があるが、低用量のGCでの報告はまれ
で、たいていは逸話的なレベルである。SLEにおいてはGCの累積量よりも投与量が多いことが危険因子かもしれないと報告されている。4つのRCT、COBRA studyでは骨壊死の報告はなかった。
GCの骨壊死に対する影響、投与量、投与方法、投与期間との感染などの疑問に関してはまったく未解決のままである。言えることは少量のGCでは骨壊死はまれである。可能な予防法はないが、骨壊死に関して注意をはらう必要はある
6. 白内障緑内障

GCの長期使用によって、後嚢下白内障が起こりうると言われている。皮質白内障との関連もあるかもしれない。長期間少量のGCの使用と白内障の関連に関する報告はほとんどない。5-15mg/日(平均6mg)を平均6年間使用したRA患者の検討では、マッチさせた非GC使用のRA患者で4.5%であったのに比較してGC使用者では15%で白内障が認められた

GCの投与により緑内障の危険は増え、その結果視野欠損や盲に至る危険性がある。一般的にGCの使用にて18-36%で眼圧が上昇すると言われている。7.5mg/日以上のプレドニンを1年以上使用していたRA患者の6/32(19%)で開放隅角が認められたのに対して、7.5mg/日未満では1/38(3%)であった。

7. 精神障害(psychosis;サイコーシス)

原病・low T3 syndromeによるものが多い。突発性 難聴で精神障害が出ることはほとんどない。 精神障害は幻覚や妄想やその両方を特徴とする。ステロイドサイコーシスの発生率は、その調査法が様々であり、その報告も0-60%と様々である。あるレビューでは5-6%と報告している。しかしながら、多くは高用量のGCの使用であり、SLEなどの基礎疾患の影響を除外できていない。ランドマークとなる研究に、ボストンでの報告があり、718名の調査で、40mg/日で1.3%、41-80mg/日で4-5%、それ以上では18%であった。いくつかの報告では20mg/日以下ではサイコーシスは認めなかった。4つのRCTとCOBRAでは認めなかった。臨床家はサイコーシスの存在を認識しておく必要はあるが、リウマチ診療で使用する少量から中用量での使用では極めてまれである。
8. 高血圧

GC使用者の約2割で高血圧が認められるといわれているが、その機序はよくわかっていない。20mg/日以下の1年以上の使用者のRA、喘息の195名のretrospectiveな報告では、血圧と用量と投与期間の関連は認められなかった。4つのRCTでは血圧への関与は検出されなかった。中用量から高用量を使用していたCOBRAの期間ではプラセボ群よりいくらか血圧の上昇を認めた。いくつかの研究では高血圧の患者は除外されている。
GCによっておこる高血圧は用量と関連があるが、低用量から中用量では関連が小さそうである。高血圧に関する様々な因子との関連により高血圧は起こるのだろう。GCの隔日投与は高血圧を引き起こしにくいだろうという報告もあるが根拠は小さい。
9. 副腎不全

プレドニゾロン10mgを半年服用すると副腎不全状態。 好酸球増加・低Na・K上昇などで疑う。 

10. 水分・電解質、浮腫、心機能
高Na血症、低K血症や水分・電解質バランスはミネラルコルチコイド作用であり、クッシング病では浮腫、高血圧、心不全を引き起こしたりするが、プレドニソロン、メチルプレドニソロン、デキサメサゾンなどのミネラルコルチコイド作用はほとんど認められない。中用量から高用量のGC心不全に対する投与例の少数の報告でも心機能に対する影響は認めなれなかった。4つのRCTとCOBRAでは心不全の報告はなかった。

Safety of low dose glucocorticoid treatment in rheumatoid arthritis

(Ann Rheum Dis 2006;65:285-293)REVIEW より作成

 

 

胃潰瘍予防
ステロイド単独投与ではPPIH2ブロッカーは使用しないことが多いのですが、NSAIDsやアスピリン併用時は使用します
感染症の予防
手洗い励行、うがい励行、カリニ肺炎に対する少量バクタ投与 (1T1X )は、間質性肺炎合併時には全例投与し、
免疫抑制剤併用時やIgG低下時には必要に応じて投与するのが一般的です
バクタでは、低ナトリウム、低カリウムなどの電解質異常や肝機能障害などの副作用に注意を払ってください
抗真菌剤(イトラコナゾール、ボリコナゾールなど)投与を行うこともあります
血栓症の予防
血管炎やSLEのときはバイアスピリン投与、
LAC陽性やカルジオリピン陽性やループス腎炎(?-?)合併のときはワーファリゼーション(INR2-2.5)(約2-3ヶ月、主に入院中)
ステロイドパルス施行時でDVTが存在する場合やD-dimerが高値などリスクが高いときはワーファリンあるいはヘパリン投与を
骨粗鬆症の予防[ref]
ステロイドの投与量に関係なく3ヶ月以上使用中または使用する予定の患者で、以下の危険因子スコア3点以上の場合には、アレンドロネート(ボナロン)、あるいはリセドロネート(アクトネル)投与(妊娠可能女性には催奇形の危険性を話し、了解をえたうえで)
骨量正常で妊娠可能女性の場合、活性型Vit.D

5) ステロイド投与法

高容量ステロイド療法

 

処方例

メチルプレドニゾロン1g in ソリタT3 500ml 1時間で静注 3(から5)日間
(商品名、ソル・メドロール、メドロール、デポ・メドロール、プリドール、ソルメルコート)

一般的にステロイドパルス療法にはメチルプレドニゾロンが使用されますが、これは電解質作用が少ないステロイド剤であることが理由です。パルス療法終了後には、疾患によって様々ですが、プレドニゾロン30-60mg/日の内服による後療法を行うことが多いです。円形脱毛症のセミパルスでは一般的におこなわれません。


分割投与
3分割
朝昼2分割
不均等投与

などがあります。一般的には抗炎症効果は3分割投与が1番強いのですが、

夕方のPSLの内服は不眠をひきおこすことが多いのが難点です

投与方法について
経口が不可能な場合や腸炎など腸管からの吸収が悪いと考えられる場合は、経口量の等量を2分割で静注投与します

 

分割投与?一括投与?

• ループス腎炎では朝1回投与と分割投与で差はないとされています。

• 巨細胞性動脈炎では分割投与が勝ると報告されています。

• 病態により異なるが、一般的に疾患急性期では 効果の切れる時間帯を作らない方が無難とされます。

筆者は3分割か(2-1-1)の比率で開始するのが好みです。

減量方法
疾患ごとに異なりますが、

初期量は2-4週間投与後、1-2週間ごとに5-10mgずつ減量、

20mg以下では1-2.5mg/2-4週ずつ減量、必要であれば約10mg/日で維持投与とします。

疾患によっては減量しゼロを目指します。

筆者は再燃時にはいったん増量しMTX(メトトレキサート)やCyA(シクロスポリン)、AZ(アザチオプリン)を追加して減量するのが好みです。

 

 

といいうことです。

まとめに1時間かかってしまった(;'∀')

ご覧の皆さまで「オイ、まちごうとるぞ!」ということがございましたら

お知らせください。

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ではでは・・・

 

免責事項:上記内容は筆者の各文献資料のまとめによりますが筆者の私見によります、実際の使用にあたっては主治医の判断を仰いでくださいますようお願いします。