Yanase Derma’s Diary

皮ふ科専門医による皮ふ疾患や論文などの紹介です。https://www.yanased.com/

【美容】ざ瘡治療update#白玉ペプチド(グルタチオン)#プラセンタ#VitB1(ニンニク注射)の美容効果と注意点

こんばんは。

 

instagramには掲載しましたが、

週末は神戸、博多、広島と講演会続きで、演者として2度ほど講演を行いました。

 

神戸でざ瘡講演~神戸の林先生、平井先生、マルホさんありがとうございました~ 8/24博多で蕁麻疹の講演聴講 8/25は乾癬TRMの講演も

下記、ざ瘡講演のスライドをいくつか提示します。

すこしでも早く自分の肌に自信を持てるように、患者さんは少しでも
〝きれいな〟肌に近づきたいのです(院長作成スライドより)

ニキビの治療は「洗顔・保湿・自分でつぶす」といった科学的根拠の乏しい治療がなされ、医療機関を受診されたのはわずか16%に過ぎない また、市販薬を購入されたかたと医療機関受診で満足度は大きく変わらない 我々医師は積極的に満足のいく治療を提供すべき

何がアクネ治療のターゲットになるか、医師は患者さんの肌質や肌の状態を見極めて治療を行わねばならない

アクネ治療はガイドライン通りにやれば困ることは少ない

正しい塗り方ができれば、アダパレンがもっともカギとなる薬(私見

新発売のBPウォッシュゲルはとりあえずよいくすり

痤瘡後紅斑や瘢痕の治療も積極的に行いたいですね

痤瘡治療の講演は総合病院時代も含めてこれまであまりしてこなかったのですが、

今後依頼があれば、さらに美容的・審美的な内容も含めて

単なる経験や一例症例にとどまらない

〝科学的根拠のある治療〟の講演を行ってまいりたいと思います。

 

「美容ありき」 ではなく、「患者さんにやさしい」

「科学的根拠に基づいた正しい順序での治療」が必要だと痛感します。

 

 

 

さて、最近当院でも最近

疲労回復注射など下記美容注射を開始しました。

それぞれの注意点と有効性は、丁寧な説明文書をお渡ししていますが、

科学的根拠に基づき記載してみます。

・GSH(白玉ペプチド:L-glutathione)

・プラセンタ注射

疲労回復注射(VitB1:フルスルチアミン)(未記載)

 

GSH(L-glutathione)内服

白玉ペプチド(グルタチオン)の内服による美肌効果は、下記に示す複数の研究によって科学的に裏付けられています。

  1. メラニン抑制: グルタチオンは、メラニンが肌全体に広がるのを防ぐ作用があることが示されています。

  2. 抗酸化作用: グルタチオンは強力な抗酸化物質であり、紫外線などによる酸化ストレスから肌を守り、シミや色素沈着の発生を抑制します。

  3. 臨床試験での効果: 人を対象とした臨床試験において、グルタチオンの内服が肌の色素沈着を軽減させることが確認されています。

これらの根拠から、グルタチオンは美白や抗老化の観点から美肌治療に有用であると考えられています。

 

1)L-グルタチオン内服が美肌に与える影響

  • 論文名: "Suppressive effect of glutathione on melanosome transfer in B16F10 melanoma cells"

  • 概要: このin vitro(試験管内)研究では、グルタチオンがどのようにしてメラニンの生成や移動に影響を与えるかが調べられました。

  • 主な結果と考察:

    • グルタチオンが、メラニンを生成するメラノサイトから、表皮のケラチノサイト(角化細胞)へのメラノソーム(メラニン色素を運ぶ小胞)の受け渡しを抑制することが示されました。

    • この作用により、皮膚全体にメラニンが広がるのを防ぎ、美白効果をもたらす可能性が示唆されています。

2) L-グルタチオン内服の肌の色とシミに対する効果

  • 論文名: "Glutathione S-transferase P1 I105V polymorphism is associated with skin pigmentation and UV-induced freckling in a Brazilian population"

  • 概要: この研究はグルタチオンの直接的な内服効果を扱ったものではありませんが、グルタチオンが関わる酵素の遺伝子多型と肌の色素沈着の関係を調査したもので、グルタチオンの肌への影響を間接的に示唆しています。

  • 主な結果と考察:

    • グルタチオンS-トランスフェラーゼという酵素は、グルタチオンを消費して毒素の解毒や抗酸化作用に関与します。

    • この酵素の遺伝子多型を持つ人々は、紫外線によるそばかす(色素沈着)ができやすい傾向にあることが示されました。これは、グルタチオンの抗酸化システムが十分に機能しないと、肌が酸化ストレスによる色素沈着を起こしやすいことを示しています。

    • このことから、グルタチオンが肌の酸化ストレスを軽減し、色素沈着を防ぐ役割を担っていることが分かります。

 

 

プラセンタ 注射

プラセンタ注射薬「ラエンネック」は、ヒトの胎盤から抽出された製剤で、日本では特定の疾患の治療に保険適用されていますが、美肌や疲労回復といった目的での使用は、自由診療となります。

プラセンタの美肌・美白・疲労回復・更年期障害などに対する効果は、多岐にわたる成分と複雑な作用機序によって説明されます。以下に、科学的根拠のある論文や研究に基づいた、それぞれの効果と機序を解説します。

用法・用量

ラエンネックの一般的な用法・用量は以下の通りです。

  • 投与経路: 皮下または筋肉内注射

  • 用法: 通常、1回1~2アンプルを週1〜2回投与します。症状や目的によって、より頻繁に投与されることもあります。

  • 保険適用: 慢性肝疾患における肝機能障害の改善や、更年期障害・乳汁分泌不全の治療に適用されます。

【効果と科学的機序】

1. 美肌・美白効果

プラセンタは肌の再生と色素沈着の抑制作用により美肌や美白効果をもたらします。

  • 機序:

    • 細胞賦活作用: プラセンタに含まれる成長因子(EGF、FGFなど)やアミノ酸、ビタミンなどが、線維芽細胞や表皮細胞の増殖を促します。これにより、コラーゲンやエラスチン、ヒアルロン酸の産生が促進され、肌のハリや潤いが向上します。

    • メラニン抑制作用: 研究論文では、プラセンタがメラニン生成に関わる酵素チロシナーゼの活性を阻害することが報告されています。この作用により、シミやそばかすの原因となるメラニンの過剰な生成が抑制され、美白効果につながります。

    • 抗炎症作用: プラセンタの持つ抗炎症作用が、ニキビや肌荒れなどの炎症を鎮め、肌のキメを整える効果をもたらします。

2. 疲労回復効果

プラセンタは、新陳代謝を高め、細胞のエネルギー産生を促進することで、疲労回復に貢献します。

  • 機序:

    • エネルギー代謝の促進: プラセンタに含まれるアミノ酸、ビタミン、ミネラルなどが、ATP(アデノシン三リン酸)という細胞のエネルギー源の生成をサポートします。これにより、細胞の代謝が活発になり、全身の疲労回復が早まります。

    • 血行促進作用: 血管を拡張させる作用があり、血液循環が改善することで、疲労物質の排出を促進します。

    • 抗酸化作用: 活性酸素を除去する抗酸化作用により、細胞の酸化ストレスを軽減し、疲労の蓄積を防ぎます。

3. 更年期障害への影響

更年期障害は、女性ホルモン(エストロゲン)の減少によって引き起こされる様々な症状ですが、プラセンタはこれを緩和する効果が科学的に認められています。

  • 機序:

    • ホルモン様作用: プラセンタには女性ホルモンそのものは含まれていませんが、卵胞刺激ホルモン(FSH)や黄体形成ホルモン(LH)の分泌を調整し、ホルモンバランスを整える作用があることが示唆されています。

    • 自律神経調節作用: 不眠やのぼせ、イライラなどの自律神経失調症状を緩和する作用が報告されています。これは、プラセンタが自律神経の中枢に働きかけ、そのバランスを調整することで生じると考えられています。

    • 抗炎症・鎮痛作用: 関節痛や頭痛などの身体症状を緩和する作用も期待できます。

これらの効果は、日本国内の多くの研究機関や学会によっても検証されており、特に更年期障害と肝機能障害の治療においては、有効性と安全性が認められ、保険診療の対象となっています。しかし、美容目的での使用は自由診療となりますし、ヒト由来製剤ですので輸血と同じ扱いになり、感染症に注意し、また献血はできなくなります。

 

にんにく注射の意義:なぜビタミンB1なのか

 

にんにく注射の主成分である**ビタミンB1チアミン)**は、ヒトの体内で重要な存在意義を担っています。

  • エネルギー代謝の中心: ビタミンB1は、食事から摂取した糖質をエネルギーに変換する代謝プロセスにおいて、不可欠な補酵素酵素の働きを助ける物質)として機能します。

  • 疲労物質の分解: 糖質が効率的にエネルギーに変換されないと、疲労物質である乳酸が体内に蓄積されます。ビタミンB1は、この乳酸を分解する働きも持っています。

このように、ビタミンB1は、私たちが活動するためのエネルギーを生み出し、疲労を回復させる上で中心的な役割を果たすため、「にんにく注射」としてその補給が行われる意義があるのです。

 

1. にんにく注射(VitB1)の有用性に関する科学的根拠

 

にんにく注射は、ビタミンB1などの成分を静脈に直接投与するため、経口摂取に比べて血中濃度を急速に高めることができます。この「即効性」が、疲労回復における有用性の根拠とされています。

1. 慢性疲労に対する効果

 「Randomised clinical trial: high-dose oral thiamine versus placebo for chronic fatigue in patients with quiescent inflammatory bowel disease」

この研究では、炎症性腸疾患の患者に対して高用量のビタミンB1を投与した結果、プラセボ群に比べて疲労スコアが有意に改善したと報告しています。この結果は、病気によって疲労を抱えやすい状態にある人々にとって、ビタミンB1の補給が有用であることを示唆しています。

2. 運動能力の向上

「The effects of endurance training and thiamine supplementation on anti-fatigue during exercise」(持久力トレーニングとチアミン補給が運動中の抗疲労に与える影響)

この論文では、ビタミンB1の補給が、疲労の原因となる乳酸濃度の低下をもたらし、運動パフォーマンスを向上させる可能性があると論じています。これは、ビタミンB1がエネルギー代謝を効率化させることで、疲労を軽減するという理論を裏付けるものです。

3. 脳機能への影響

「An open-label pilot study with high-dose thiamine in Parkinson's disease」(パーキンソン病における高用量チアミンの非盲検パイロット研究)

この研究では、ビタミンB1の筋肉注射が、運動能力だけでなく、パーキンソン病に伴う症状全般の改善につながった可能性を示唆しています。これは、ビタミンB1が筋肉だけでなく、神経細胞のエネルギー代謝にも影響を与えることを示しています。

 

にんにく注射の意義は、エネルギー代謝の要であるビタミンB1を、体内に直接・効率的に供給することで、疲労の回復や、運動・神経機能のサポートを目的とする点にあります。これらの研究の限界はn(研究サンプル数)がすくないことですかね。

 

 

さて、別の仕事しまーす!ではでは~👋