Yanase Derma’s Diary

皮ふ科専門医による皮ふ疾患や論文などの紹介です。https://www.yanased.com/

【講演会まとめ】アトピー性皮膚炎の長期寛解

みなさま、お疲れ様です。

 

いま、品川から広島にもどる新幹線の車内です。

 

本日はアトピー性皮膚炎の全国講演会に参加してまいりました。

 

これまで総合病院では重症な患者さんを多く診療してまいりましたが

 

開業してから(まだ開業1か月のひよっこですが)

 

このひよっこめが!とひよこにいってみる(bokete.jpより引用改変)

いまのところ、皮疹が重症な方は 

 

幸いなことに

 

そんなにおいでになりません。

 

 

 

とはいえ、症状が軽いとされる患者さんでも

 

症状が心配でしんどいからわざ受診においでいただいているわけですので

 

当たりまえですが

 

重症な方と同じように治療に

 

しっかりとご満足いただけるような説明と治療を提供する必要がありますし、

そのように心がけているとおもいます。

 

 

 

 

アトピー性皮膚炎の治療は長期にわたるため

ここまでで治療おわり! 治りました!

といえる治療ではありません。

 

 

アトピーは体質ですので、

高血圧や糖尿病、脂質異常症などとおなじく

疾患を悪化させずに良好に維持することが大切です。

 

 

 

そのため、長期にわたる医療を提供する可能性が高いことを

ご納得いただいたうえで

たとえば、重症な患者さんでは高額な治療も含めて

ときには必要となることがあることをご理解いただかく必要があります。

 

 

アトピー性皮膚炎を含めて、

 

『ちょっとの悪化因子ではびくともしないような深い寛解(治った)状態』

 

(これを上出良一先生@東京慈恵医大名誉教授は〝深寛解〟と呼んでおられました)

(また、以前乾癬の発表でご一緒したことのある

JR札幌HP病院の伊藤圭先生も深寛解・真寛解・心寛解と呼んでおられました)

 

に持っていくことが必要で

 

なおればすぐ治療終わり、ではすぐに再燃する(ぶりかえす)

可能性があることをご説明する必要があることを

上出良一先生から学びました。

 

 

この緩解状態を

LTSC( long term stable control);長期安定寛解 

とよぶそうです。

 

 

このたび、

先日ご一緒した札幌皮膚科の安部正敏先生の軽妙でテンポ良い座長の進行で

慈恵医大名誉教授の上出先生の多数の症例、深い洞察のご講演、および

先日勉強に伺った新進気鋭、全国でご活躍の武岡伸太郎先生のご発表をうかがい

改めて勉強になりました。

 

 

私も

 

患者さんには、なるべく

 

「よくなってからもそれを維持することが重要で、すぐに治療をやめないで下さい。お薬がなくなって悪くなっていらっしゃるのではなく、〇〇の期間はお薬が足りるように処方していますので、お薬がなくなる前に、良い状態でおいでくださいね」

 

と説明しているのですが、

お薬がなくなって悪化してこられる患者さんはときどきいらっしゃいます。

 

大切なことは

・繰り返しご説明しご理解、ご納得いただくこと

・ご説明した軟膏の処置方法を丁寧かつ確実に実行いただくこと

・治療をやめずに継続していただくこと

だと考えています。

 

そのためには(偉そうだったらすみませんが)

患者さんに治療を継続していただけるようなやる気を

どのように引き出せるか、が重要だと考えています。

 

 

「人を動かす」というデール・カーネギーの名著がありますが

(人を動かす、なんて上から目線じゃんか、なんて議論はさておき)

 

その書には

 

・相手を批判したり、相手の間違いを指摘したりせず

・相手の自尊心を満たし

・相手に共感を示し

・相手の立場、視点に立ち

・相手の利益となることを考える

 

ことが重要で、

相手ができていることを承認し認めることが必要だと書かれています。

 

「患者さんの症状をよりよくするために必要な行動をしていただく」

ためには、

 

どうすれば患者さんに

適切な軟膏外用と、

適切な通院を

していただけるかという

目的を達成するための手段を考えねばなりません。

 

決して父権的に「こうしなさい」と上から強制するものではないのです。

医者と患者の関係が「パターナリズム」(paternalism)に陥ってはならない

とわたくしは考えています。

 

 

表現が適切でないかもしれませんが

 

 

旅人の服を脱がせるためには

強風をふきつけ無理やり脱がせようとするのではなく

暖かい日差しを与えて自ら衣服を脱ぐように仕向ける必要があります。

イソップ物語ですね。

北風と太陽のつづきと本当の教訓について。 | 茅ヶ崎に風が吹いてる。

「ぼくならそんならんぼうなことはしませんよ」

「まあみていてください」 とたいようはいいました。

 

雲も太陽もなんか悪い顔してますね(笑)

 

 

 

どのようにして

金正恩に核開発をやめさせるか、

プーチンウクライナ侵攻をやめさせるか、ということと一緒で

北風ではなくて太陽政策が大切なんですかね?

 

(ちがうか!)

 

 

 

 

・・・ということでG7の話題に戻ったところで(議論が浅い)

ぼくも広島に戻るということで。。。

 

 

 

なんかオチが付きました( ´艸`)

 

 

あ!

患者さんが旅人、金正恩プーチンとかっていうわけじゃないですよ💦💦

誤解を招く表現だとしたらいけないですね。失礼いたしました。

 

 

ではではー、みなさま明日からまた頑張りましょう✨✨

 

ばいばいまたね