おはようございます。
ヤナセです。
今日は、
赤ら顔(酒さ;しゅさといいます)の治療
について書きます。
酒さって実は結構お困りの患者さんがいらっしゃるのではないかと思います。
皮膚科医自身が陥ってしまうこともあるため(ステロイド酒さ@ステロイドの連用により顔面が全体的にほてるように赤くなることがあります)
気をつけねばいけない疾患である一方で
治療はなかなか難しい疾患です。
来週、鼻瘤(3度酒さ)の手術を予定しており
→ ブログ記載進めている間に終了しました。経過はまた書こうかな。
↓鼻瘤ってこんなん
酒さについては一度体系的にまとめねばと思うに至りブログに書くことにしました。
Cochran libraryの論文を読みといていきます。
cochranは英国の非営利組織であり、臨床家、患者、研究者にとってエビデンスのあり質の高い情報を用いて健康上の意思決定をしたいと考える人のためにあるとされます。
Interventions for rosacea (Review) 。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC6481562/pdf/CD003262.pdf
… 総ページ390ページ…だと…!?
…
しばらくまとめちゃろうと思って読み進めましたが挫折しましたorz
以下にまとめます・・・。
酒皶(しゅさ)
酒さは,顔面の紅潮,毛細血管拡張,紅斑,丘疹,および膿疱と重症例でみられる鼻瘤を特徴とする慢性炎症性疾患です。診断は特徴的な外観および病歴に基づきます。治療は重症度に応じて異なり,メトロニダゾールの外用,抗菌薬の外用および内服,イベルメクチンの外用,まれにイソトレチノイン,重度の鼻瘤に対する手術などがあります。
病因
酒さの病因は不明ですが,関連性が示唆されている要因として以下のものがあります:
・血管運動制御の異常
・顔面の静脈還流障害
・毛包に生息するダニ(ニキビダニ[Demodex folliculorum])の増加
・血管新生,フェリチンの発現,および活性酸素種の増加
・抗菌ペプチド(例,カテリシジン)の機能異常
食事には一貫した関与は認められていませんが,
一部の物質(例,アミオダロン,コルチコステロイドの外用および鼻腔内投与,ビタミンB6およびB12の大量摂取)によって酒さが悪化する可能性があるとされています。
症状と徴候
酒さは顔面および頭皮に限局し,臨床像は以下の4期に分けられます:
1)酒さ前駆期
2)血管期
3)炎症期
4)進行期
1) 酒さ前駆期(pre-rosacea phase)
患者が当惑するほどの紅潮と赤面がみられ,しばしばチクチクする不快な感覚も生じます。このような発赤の誘因としてよく報告されているものには,日光曝露,精神的ストレス,寒いまたは暑い気候,アルコール,香辛料の効いた食品,運動,風,化粧品,熱い風呂,熱い飲み物などがあります。これらの症状は,本疾患の他の病期を通じて持続します。
2) 血管期(vascular phase)
顔面に多発性の毛細血管拡張を伴う紅斑および浮腫が生じますが,これらは血管運動障害(vasomotor instability)が持続することが原因である可能性があります。
3) 炎症期(inflammatory phase)
しばしば血管期に続いてみられ,無菌性の丘疹および膿疱(このため,酒さは成人にきびとも呼ばれる)が発生すします。
4) 進行期(late phase)(一部の患者でみられる)
頬部および鼻に生じる粗造な組織の過形成(鼻瘤)を特徴とし,これは組織の炎症,コラーゲン沈着,および皮脂腺の過形成が原因です。
酒さの病期は通常は連続的です。
しかしながら,初期の段階を飛ばして直接炎症期に進行する患者もあります。治療により酒さの病期が早期の段階に戻ることがあります。進行期への進行は必ず生じるわけではありません。
5) 眼型酒さ
眼型酒さ(ocular rosacea)は,しばしば顔面の酒さに先行するか顔面の酒さと同時に発生し,臨床像としては,眼瞼結膜炎,虹彩炎,強膜炎,角膜炎が種々の組合せで併発し,それらにより眼のそう痒,異物感,発赤,および浮腫を来します。
診断
臨床的評価
酒さの診断は特徴的な外観に基づき,特異的な診断検査はありません。
発症年齢および面皰がみられないことは酒さをざ瘡と鑑別するのに役立ちます。
酒さの鑑別診断として以下のものがあります。
尋常性ざ瘡,
SLE,
サルコイドーシス,
日光皮膚炎,
薬疹(特にヨード疹とブロム疹),
皮膚の肉芽腫,
口囲皮膚炎など。
治療
誘因の回避
抗菌薬の外用または内服か,アゼライン酸またはイベルメクチンの外用を考慮
紅潮または持続性の紅斑にはブリモニジンの外用を考慮
難治例には,イソトレチノインの内服を考慮
鼻瘤には,削皮術および組織切除を考慮
毛細血管拡張には,レーザーまたは電気焼灼術による治療を考慮
酒さの主な初期治療は誘因を回避することである(サンスクリーン剤の使用など)。
炎症期には,抗菌薬および/またはアゼライン酸を使用してもよいです。
治療の目的は症状のコントロールであり,治癒ではありません。
メトロニダゾールのクリーム(1%),ローション(0.75%),またはゲル(0.75%)とアゼライン酸20%クリームの1日2回塗布は同程度に効果的であり,さらに症状コントロールを高めるため,2.5%過酸化ベンゾイル(例,ゲル剤,ローション剤,クリーム剤など剤形は問わない)を1日1回または1日2回で追加してもよいとされます。
有効性で劣る別の選択肢としては,スルファセタミドナトリウム(sodium sulfacetamide)10%/イオウ5%ローション,クリンダマイシン1%溶液,ゲル,またはローション,エリスロマイシン2%溶液などがあり,いずれも1日2回の塗布で使用します。
長期のコントロールを得るためには,多くの患者で無期限の治療が必要となる。イベルメクチン1%クリームの外用が炎症期の酒さ病変に対する治療に有効とされています。
丘疹または膿疱が多発性にみられる患者と眼型酒さの患者については,経口抗菌薬の適応であり,その選択肢としてはドキシサイクリン50~100mg,1日2回,テトラサイクリン250~500mg,1日2回,ミノサイクリン50~100mg,1日2回,エリスロマイシン250~500mg,1日2回,アジスロマイシン250mg,1日1回,隔日またはパルス投与の様々なレジメンなどがありあります。有益な反応が得られたら,症状をコントロールできる最低の用量まで減量すべきとされます。抗菌作用を示さない低用量でドキシサイクリンを投与する治療(含量30mgの即放性製剤と含量10mgの徐放性製剤として計40mgを1日1回投与する)が,ざ瘡および酒さに効果的であるとされています。
持続性の紅斑または紅潮は,α2受容体に選択的な外用アドレナリン作動薬であるブリモニジン0.33%ゲルの1日1回の塗布,または主にα1a作動薬である塩酸オキシメタゾリン1%クリームの1日1回の塗布で治療できます。
難治例は,イソトレチノインの内服が奏効することも。
鼻瘤に対する治療法としては,削皮術や組織切除などがあり,美容的に良好な結果が得られるとされています。
毛細血管拡張に対する治療法としては,レーザー治療や電気焼灼術などがある。
以上です。
ブリモニジン:アイファガン®;緑内障治療薬
オキシメタゾリン:ナファゾリン®
だそうで、いずれもα刺激薬として血管収縮による作用のようです。
本邦では点眼薬・点鼻薬として使用されています。
禁忌は過敏症が主で
MAO阻害薬の内服
適用外使用ですので使用には説明と同意のうえ薬剤副作用救済制度の対象外となることに留意する必要があります。
いずれも海外ではいくつも報告があり一般的に使われていますね(Review)
Role of Topical Oxymetazoline for Management of Erythematotelangiectatic Rosacea.
Hoover RM, Erramouspe J. Ann Pharmacother. 2018 Mar;52(3):263-267.
患者さんに説明と同意のうえ希望されれば経過を記載しようと思います。
いままで紅斑性酒さには加味逍遙散や桂枝茯苓丸の内服をしてある程度の有効性がみられていたのですが 最近限界を感じていましたので。
V beamという赤ら顔に効果のあるレーザーのある施設へ紹介を考えていました。
ちょっと外用も希望があれば試みてみたいと思います。
鼻瘤の手術はCO2レーザーではとても対応できませんでしたので
電気メスで削切しました。またきれいになれば報告しますね。
ではでは・・・。
2023/06/16追記)
酒さ様皮ふ炎について書いています。
現在酒さについて当院では
・ある外用薬
・Nd-YAGレーザー照射
・漢方薬内服 などで良好な経過の患者さんが多いです。